リーガル

記事番号:T00042751
2013年3月25日15:30

一.はじめに

 近年中国では、フランチャイズビジネスを行う企業が増加しています。中国商務部の情報によれば、2012年7月31日時点で、商業フランチャイズ登録企業は、約1,850社に上ります(そのうち、2つ以上の省、自治区、直轄市にわたってビジネス展開を行っている企業が1,498社、1つの省、自治区、直轄市のみでビジネス展開を行っている企業が361社)(注1)。この数は、日本フランチャイズ協会が公表した11年度(11年4月~12年3月)のフランチャイズチェーン数1,260社を上回ります。
他方、11年12月12日に改正「商業フランチャイズ届出管理弁法」(商務部令11年第5号)(以下「届出弁法」といいます)が、12年2月23日に改正「商業フランチャイズ情報開示管理弁法」(商務部令12年第2号)が公布されるなど法整備も着々と進んでいます。また、12年施行の外商投資産業指導目録では、フランチャイズビジネスが制限類から削除されたことにより、許可類(優遇はないが投資可能)となり、外国企業による参入が緩和されました。

 今回は、中国のフランチャイズビジネスの基本法令である「商業フランチャイズ管理条例」(国務院令第485号、07年2月6日公布)(以下「管理条例」といいます)を中心に紹介します。

二.管理条例の概要

 管理条例では、商業フランチャイズの定義(第3条)、フランチャイザーの要件(第7条)、届出義務(第8条、第9条)、フランチャイズ契約の内容規制(第11条~第13条)、フランチャイザーによる情報開示(第20条~第23条)および罰則(第24条~第30条)などについて定められています。紙幅も限られていますので、ここでは、商業フランチャイズの定義およびフランチャイザーの要件を取り上げたいと思います。

1.商業フランチャイズの定義

 管理条例第3条によれば、商業フランチャイズの定義は以下の通りです。

①登録商標、企業マーク、特許、ノウハウなどの経営資源を有する企業(フランチャイザーという)が、契約形式によってその保有する経営資源をその他の経営者(フランチャイジーという)が使用することを許諾し、②フランチャイジーが契約の約定に従い、統一された経営モデルの下で経営を展開し、かつ③フランチャイザーにロイヤルティを支払う経営活動を指す。

 この案件について、①および③の点で、商標・商号のライセンスと類似しています。このため、ライセンスビジネスを行っているつもりでも、当局が商業フランチャイズに該当すると認定する可能性があります(注2)。

 フランチャイズビジネスを行うためには、一定の要件(下記2参照)を充足し、期限(最初のフランチャイズ契約を締結した日から15日)内に届け出を行わなければならないなどの制限があります。ライセンスビジネスが商業フランチャイズに該当すると判断された結果として、これらの制限に違反した場合には罰則(要件充足違反の場合、管理条例第24条第1項に基づき10万人民元以上50万元以下の過料、届出期限違反の場合、管理条例第25条、届出弁法第16条に基づき1万元以上10万元以下の過料)が科せられます。

 もっとも、現時点においては、管理条例違反を理由に処罰された案件は見当たりません。ただし、管理条例違反に対する処罰の手続規定について、08年から継続的に議論が行われており、仮に当該規定が制定されれば、管理条例違反に対する実務上の取り締まりが強化される可能性がありますので、注意が必要です。

2.フランチャイザーの要件

 管理条例第7条においては、以下のように定めています。

 フランチャイザーがフランチャイズ活動に従事する場合は、成熟した経営モデルを有し、かつフランチャイジーに経営指導、技術支援および業務訓練などのサービスを継続的に提供できる能力を備えていなければならない(第1項)。

 フランチャイザーがフランチャイズ活動に従事する場合は、直営店を少なくとも2店有し、かつ経営期間が1年を超えていなければならない(第2項)。

展開形態によっては違反に

 特に第2項の要件に注意が必要です。直営店や経営期間は、必ずしも中国国内のものに限定されないので、外国企業が直接中国でフランチャイズビジネスを展開する場合、外国企業が既に外国でフランチャイズビジネスを展開していれば、この要件を満たす場合も少なくないと考えます。

 他方、外国企業が、中国国内に新たに外商投資企業を設立し、当該企業をフランチャイザーとして、中国でのフランチャイズビジネスを展開させる場合、当該外商投資企業は新設会社であるために、第2項の要件、特に「経営期間が1年を超えていなければならない」との要件によって、直ちにはフランチャイザーになることができない可能性があります。

 このように、適切なビジネススキームを選択するために、法令の要件を理解しておくことが重要です。

(注1)2つ以上の省、自治区、直轄市にわたってビジネス展開を行っている企業は商務部が、1つの省、自治区、直轄市のみでビジネス展開を行っている企業は所在地の人民政府商務主管部門が監督管理を実施することとされています(管理条例第5条)。もっとも、届出弁法第4条では、2つ以上の省、自治区、直轄市にわたってビジネス展開を行っている企業の届出業務について、商務部が、関連する省、自治区、直轄市の人民政府商務主管部門に委託することができるとしています。

(注2)「商標ライセンス契約」の名目で締結されているが、実質はフランチャイズ契約であり、ライセンサーはフランチャイズビジネスを行う要件を満たしていないとして、ライセンシーが契約の解除を主張した民事紛争案件では、契約内に、商標の使用だけではなく、統一された学習教材・テスト、指導方法等が含まれていることを理由に、ライセンシーの主張を認めたケースがあります。

コラム執筆者
安江義成弁護士
鈴木龍司弁護士
謝均中国弁護士

黒田法律事務所・黒田特許事務所 
1995年に設立、現在日本、台湾、中国の3カ所に拠点を持ち、中国法務に強い。 現在、13名の弁護士、6名の中国弁護士、2名の台湾弁護士、1名の米国弁護士及び代表弁護士を含む2名の弁理士が在籍しており、執務体制も厚い。
http://www.kuroda-law.gr.jp/ja/tw/

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