リーガル

記事番号:T00046441
2013年10月17日15:34

 皆さん、こんにちは。黒田日本外国法律事務弁護士事務所の顧問の佐田友です。

 今回は不動産物件の賃貸借の中途解約について書いてみようと思います。

 分かりやすい例をまず挙げてみますね。

「Aさんは、今年の5月に台北に赴任し、職場がある台北都市交通システム(MRT)の松江南京駅近くのマンションに入居しました。新しいマンションで非常に気に入っていましたが、7月末に大家さんから1カ月分の違約金を支払うから、マンションから退去してほしいと言われてしまいました。Aさんは退去しなければならないのでしょうか?」

賃貸借契約をよく読むと

 退去しなければならないかどうかは、結論から言えば、Aさんと大家さんの賃貸借契約の内容に従うことになります。

 台湾における住居の賃貸借契約には、契約期間中であっても、1、2カ月分の家賃相当額の違約金のみを支払えば、賃貸借契約を解除できるという契約条項が一般的に存在します。

 多くの日系企業の駐在員の方は、自分の住居の賃貸借契約書をじっくり読まれることは少ないのではないでしょうか。

 日本から赴任してきて、限られた時間の中で住居を探さなくちゃならないでしょうし、なかなか時間をかけて大家さんと交渉することも難しいと思われます。

 その結果、台湾での不動産物件の賃貸借契約は、大家さんに有利なものとなることが多くなってしまうのでしょうね。

泣く泣く退去へ

 Aさんも、大家さんから退去してほしいと言われ、初めて契約書をじっくり読むと、やはり「1か月分の家賃相当額の違約金のみを支払えば、賃貸借契約を解除できる」という条項が存在していました。

 Aさんは、大家さんの希望を受け入れ、退去せざるを得ません。大家さんがこのような条項を賃貸借契約に置く理由はさまざまです。大家さんがより高く借りてくれる人を常に探していて、良い借り手を見つけたという場合もあるでしょう。自分の親族が大学生になったから使わせてやりたいということもあり得ます。実は、不動産物件自体を売ろうとしていて、買い手が現れたものの、賃借人がいることで、うまみのある値段で売却できないなどという、言わば身勝手な理由の場合もあるでしょう。

 しかし、契約で合意されている以上、このような理由は関係ないのです。どのような理由であれ、賃借人は追い出されてしまうのです。賃借人は、時間と労力、お金を使って、新たな住居を探さなければなりません。

 これは結構つらいですよね~。本当に、よい大家さんを見つけることができるかは運次第かもしれません。私も、自分の住居から、いきなり出て行ってほしいって言われてしまうかもしれません。せっかく慣れてきたとこなんで、勘弁してほしいです。大家さん、出てってなんて言わないでくださいね~!!! 

佐田友浩樹弁護士

佐田友浩樹弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日中英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。