リーガル

記事番号:T00047264
2013年11月28日15:42

 皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の顧問の佐田友です。

 少し前の話になりますが、侍ジャパンの試合を見に行きました。「マイクを通して叫ぶ男性に続いて盛り上がる応援」や「チアガールの女性によるパフォーマンス」など日本との違いが面白かったです。天母の球場では2階席に座っていたのですが、周囲は台湾人が多かったです。たまたま隣に座った方はソフトバンクのユニフォームを着ていた台湾人でしたね~。試合の最中に私の後の方から、小さい台湾の子どもが、「日本隊加油!!(日本チーム頑張れ!!)」と応援する声が聞こえてきて、とてもほほえましく感じました。

 話は変わりますが、台北で都市交通システム(MRT)に乗っていて、まず驚くのは、日本と比べ子どもを連れている人や老人に席を譲る姿をよく見ることです。東京あたりの電車では、小さい子どもを抱えたお父さんが立っていても、席を譲られるのを見るのは少なくないですか??私の印象では、ほとんどない気がします。

マナーと法律の境界線

 ただ、台北でよく見られる、この席を譲る行為はあくまでマナーの範囲内の行為であって、「博愛座(優先席)」が、なんらかの法律で「特定の者のみが、その席を使うことができる」と規定されているわけではありません。

 一方、台北のMRTの車内で飲食することは法律上、禁じられています。大衆捷運法という法律で、飲食はもちろん、ガムをかむことも禁じられているんですね~。1,500台湾元以上7,500元以下の罰金まで規定されています。日本人は日本の感覚でついうっかり飲み物を飲んだり、ガムをかんだりしてしまいそうですが、気を付けなければいけません!!シンガポールではガムを国内に持ち込むことすら禁じられているのは有名な話ですが、台北のMRTも注意が必要なんです。

 このように、どこまで物事をマナーや道徳の範囲でカバーし、どこから法律で縛るかというのは国によってさまざまです。台湾において「博愛座」に誰が座っていようが法律に違反するわけではないので、70代の老人が立っているそばで、小学5年生の子どもが「博愛座」に座り続けようが、もちろん犯罪ではありません(マナーとしてはどうかと思います)。

 しかし、このような状況を目にしたある男性が怒って「お前は何歳やねん?誰がその席に座ってええゆうた?」と言って、持っていた傘でその子どもにけがをさせた事件のニュースを先日見ました(この事件は台北の事件です。言葉づかいは少し荒っぽい感じに訳してみました)。子どもの行為は当然、違法ではないですし、そもそも、暴力に訴える行為は許されるものではありませんし、当然法律違反です。私が知らないだけかもしれませんが、電車内で席を譲ることを法律上義務付けている国は、さすがにないと思いますね~。

一方中国では…

 最後に、最近知った話ですが、中国において道徳の領域に法律が入ってきている興味深い例があるので紹介します。

 中国には昨年末に改正され、今年、施行された「老年人権益保障法」という法律があり、「高齢者と別れて居住している家族は、頻繁に高齢者の見舞いをしなければならない」と規定されたんです。「頻繁に」ってどのくらいの頻度か明確ではないのですが、ある地方の裁判所では「2カ月に1度見舞うべきである」との判決が出たそうです。親子で見舞いの頻度を争うというのもすごい話ですが、法律で規定するってこともすごいと思いませんか?!どこまでがマナーや道徳の範囲で、どこから法律で規制すべきかという問題はなかなか悩ましい問題ですね~。 

佐田友浩樹弁護士

佐田友浩樹弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日中英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。