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記事番号:T00047919
2014年1月6日16:11

一.はじめに

 「『中華人民共和国消費者権益保護法』の改正に関する決定」が2013年10月25日に公布されました(施行は今年3月15日)。同法が93年に公布されて以来、今回が初めての改正です(以下では改正後の消費者保護法を「法」とします)。

二.主な改正内容

1.品質責任関連

(1)欠陥商品に対するリコールなどの実施措置の明確化(法第19条)

 商品またはサービスに欠陥が存在し、かつ人身、財産の安全を脅かす危険があることを発見した場合の事業者の講じるべき措置について、販売停止、警告、リコール、無害化処理、廃棄、製造またはサービス停止などとし、具体的内容を定め、明確にしました。

(2)立証責任の転換(法第23条第3項)

 事業者が提供する自動車、コンピューターなどの耐久商品または内外装などのサービスについて、消費者が商品またはサービスを受け入れた日から6カ月以内に瑕疵(かし)を発見し、交換などを請求する場合、事業者は瑕疵がないことの挙証責任を負うとしています。

(3)三包責任対象の拡大(法第24条)

 改正前は、事業者が三包責任(商品またはサービスが品質上の要求に合致しない場合の商品またはサービスの交換、修理、返品義務)を負うのは、国の定めまたは消費者との特約がある場合に限られていましたが、改正後はそれら以外の場合についても、受領した商品またはサービスが品質水準に合致しないときには、受領日から7日以内に返品でき、7日経過後も法定の契約解除条件(例えば、契約法第148条「品質の問題で契約目的を達成できない場合」など)に合致する場合、消費者は返品可能とし、また法定の契約解除条件に合致しない場合であっても事業者に交換、修理などの要求が可能とされました。

2.インターネットなどの方式を用いる事業者らの責任の厳格化

(1)インターネット、テレビ、電話、郵便などの方式を用いて事業者の責任(法第25条、法第28条)

 クーリングオフ制度が導入され、具体的にはインターネット、テレビ、電話、郵便などの方式を用いる事業者から商品を購入した消費者は、理由を説明する必要なく、商品を受領した日から7日以内に返品する権利を有するとされました(※一部商品は除外)。また、上記事業者は消費者に対し経営場所、連絡方法、商品またはサービスの数量および品質、価格または費用、履行の期限および方法、安全のための注意事項およびリスク警告、アフターサービス、責任(事業者の返品義務などが想定されているものと考えます)などの情報を提供しなければならないとされました。

(2)インターネット取引プラットホームの提供者の責任(法第44条)

 消費者は、インターネット取引プラットホームを通じて商品を購入しまたはサービスを受け、損害を受けた場合において、インターネット取引プラットホームの提供者が販売者またはサービス提供者の真実の名称、住所および有効な連絡方法を提供できないときは、販売者またはサービス提供者に加えて当該インターネット取引プラットホームの提供者に対して賠償請求が可能とされました。加えて、インターネット取引プラットホームの提供者が、販売者またはサービス提供者がそのプラットホームを利用して消費者の適法な権益を侵害していることを明らかに知っているまたは知り得るべきでありながら、必要な措置を講じていない場合、法に基づき当該販売者またはサービス提供者と連帯して賠償責任を負うこととされました。

3.約款使用の場合の注意喚起および説明の義務付け(法第26条第1項)

 事業者が経営活動において約款を使用する場合、目立つ方法により、商品またはサービスの数量・品質、価格または費用、履行の期限・方法、安全のための注意事項・リスク警告、アフターサービス、民事責任など、消費者と重大な利害関係を有する内容について消費者に注意を喚起し、かつ消費者の要求に従って説明しなければならないとされました。

4.個人情報の保護(法第29条)

(1)個人情報の収集、使用

 事業者が消費者の個人情報を収集、使用する場合、以下の義務を負うこととされました。

①適法、正当、必要という原則の順守

②情報の収集、使用の目的、方法および範囲の明示、および消費者の同意の取得

③収集、使用規則の公開

④法律、法規の規定および双方間の約定に違反しない

(2)個人情報の秘密保持など

 事業者(①はその従業員も)は収集した個人情報に関して以下の秘密保持義務を負うこととされました。日本の個人情報保護法のように、義務の主体が「個人情報取扱事業者」に限定されていない点にご注意下さい。

①収集する消費者の個人情報について厳格に秘密を保持し、漏えい、売却しまたは他者に不法に提供しない

②技術的措置およびその他の必要な措置を講じ、情報の安全性を確保し、消費者の個人情報の漏えい、紛失を防止する

③情報の漏えい、紛失が生じた場合または生じる可能性がある場合、直ちに救済措置を講じる

5.公益訴訟制度の導入(法第47条)

 公益訴訟制度が導入され、具体的には多数の消費者の適法な権益を侵害する行為について、中国消費者協会および省、自治区、直轄市に設立される消費者協会は、人民法院に対し訴訟提起可能とされました。被害を受けた消費者自身による訴訟提起ではない点で集団訴訟と異なります。

6.懲罰的損害賠償制度の強化(法第55条)

 事業者が詐欺行為を行った場合の懲罰的損害賠償の賠償額の上限が、消費者購入の商品の代金または受けるサービスの費用の同額から当該費用の3倍に増額され、賠償額が500人民元に満たないときは500元とするとされました。

 また、事業者が商品またはサービスに欠陥が存在することを明らかに知りながらそれを消費者に提供し、消費者またはその他の被害者が死亡しまたは健康上、重大な損害を受けた場合の懲罰的損害賠償が新たに設けられ、この場合消費者は受けた損害の2倍以下の懲罰的賠償を請求する権利を有するとされました。

7.罰則の強化(法第56条第1項)

 事業者が法第56条第1項で列挙される違法ないし不当な行為を行った場合の過料金額が、違法所得の同額以上5倍以下から違法所得の同額以上10倍以下とされ、また違法所得がないときの過料金額が1万元以下から50万元以下とされました。

※以下が除外商品です。

①消費者が特別注文したもの
②生鮮品であり腐敗しやすいもの
③オンラインでダウンロードしまたは消費者が開封した音響・映像製品、コンピューターソフトウエアのデジタル化商品
④引き渡された新聞、定期刊行物
⑤①~④のほか、商品の性質に基づき、かつ消費者が購入時に返品に適さないことを確認済みの商品
⑥使用済みの商品 

コラム執筆者

黒田法律事務所 
安江義成弁護士 
鈴木龍司弁護士
呉強中国弁護士

黒田法律事務所・黒田特許事務所 
1995年に設立、現在日本、台湾、中国の3カ所に拠点を持ち、中国法務に強い。 現在、13名の弁護士、6名の中国弁護士、2名の台湾弁護士、1名の米国弁護士及び代表弁護士を含む2名の弁理士が在籍しており、執務体制も厚い。
http://www.kuroda-law.gr.jp/ja/tw/

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