リーガル

記事番号:T00048277
2014年1月23日15:45

 皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の顧問の佐田友です。

 今回は春節(旧正月)前の最後の回になります。寒い日が続き、体調を崩されている方もおられると思いますが、元気に旧正月の連休を迎えたいものですね~。先日、台北市の大安森林公園近くの花市を見に行ったのですが、「銀柳」を買っている人を多く見かけました。「銀柳」は閩南語(いわゆる台湾語)の「銀両」の発音と近く、旧正月の縁起ものとして購入される方もいるようです。ちなみに「銀柳」を日本語にすると「ネコヤナギ」らしいです。

 さて本日は、台湾の刑法においてユニークな規定を見つけたので紹介します。

 罪を犯した場合の罰則の最も重い法定刑が5年以下の懲役刑である罪で、刑事責任を問われた人のうち、実際に裁判の結果、宣告を受けた罪が6月以下の有期懲役や拘禁である場合において、1日当たり1,000台湾元、2,000元または3,000元(いずれの金額かは裁判官が決定する)の罰金を納めることに代えることができる、つまり「罰金を支払えば刑務所に入らなくてよい」という規定が台湾の刑法には存在します。「矯正の効果を挙げることや法秩序を維持するのが難しい場合にはこの限りではない」というただし書きはあるものの、実際には「服役に代わる罰金」が納付されるケースが多くあるようです。

姦通罪なら54万元

 例えば、以前にご紹介した台湾に残る姦通罪などは、その罰則の最も重い法定刑が1年の懲役刑であり、被告人が6月以下の有期懲役などを宣告された場合、実際にはその犯罪者は罰金を支払い刑務所に入らないということを選択できるということです。仮に6月の懲役刑の場合で、1日あたり3,000元の罰金であれば、およそ54万元となり、負担は軽くはないですが、お金に余裕がある人は刑務所に入らずに済みますね~。

刑務所がパンク状態?

 台湾でこのような規定が制定された背景には、刑務所に収容される人が多く、刑務所のキャパシティーの問題があるようです。法務部のサイトを確認したところ、台湾において2012年の末には、5万8,674人の犯罪者が刑務所に収容されていました。

 日本の法務省が公表した資料によれば、日本の刑務所および拘置所の10年の年末収容人員が7万2,975人でした。比較する年度が異なりますが、台湾の人口が日本の約5分の1であることからすれば、台湾の受刑者数の多さがよく分かると思います。

 日本の刑務所および拘置所の収容定員については、10年度には9万人程度あり、収容率は80.9%とキャパシティー的には多少の余裕があるようになっていますが、過去には収容率が100%を超える状況が続いていた時期もありました(上記資料によれば、01年から06年まで)。収容率が改善したのは、収容人員が減少傾向にあったこともありますが、収容定員を拡大したことが主な要因になっています。01年の収容定員が6万5,000人弱でしたから、10年間でなんと2万5,000人も収容定員を増やしているんです。つまり日本では、台湾のような法律を制定するのではなく、刑務所の収容定員を増やす方法で刑務所のキャパシティーの問題を手当てしたってことが言えそうですね~。

 それでは、皆さま楽しい旧正月をお過ごしください。新年快楽!!! 

佐田友浩樹弁護士

佐田友浩樹弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日中英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。