リーガル

記事番号:T00049312
2014年3月24日15:47

1.はじめに

 ここ数年、中国国内の報道などで、「城管(Cheng Guan)」という言葉を目にする機会が増えました。その報道のほとんどが、城管と呼ばれる役人のような人々と庶民との衝突を問題視する内容で占められています。例えば、都市計画のために住民に土地の明け渡しを迫ったり、街の露天商を暴力的に立ち退かせたりといったものが目立ちます。城管は公安と似たような制服を着ていることが多いため、外国人の中には城管と公安を混同している人も多く、その法的な位置付けについてはあまり知られていません。以下では、その根拠となる関連法令を参照しながら、城管の法的位置付けなどについて検討します。

2.城管の成立過程

 城管とはもともと、都市の行政処罰権限を集中化して執行する「城市(日本語で「都市」)管理総合行政法執行体制」のことを指しましたが、現在では主に、市・県・区に置かれる「城市管理総合行政法執行局」(城管局)などの城管監察組織の職員を指す言葉として用いられています。

 中国では1990年代後半から急速な都市化が進み、どのように都市管理を行うかが重要な課題となりました。各行政機関がバラバラに各関連法令に基づいて行政処罰権限を執行していたのでは、執行機関が多数に上るため、執行の交錯・重複を招いて効率が低下し、市民を混乱させる上、容易に腐敗を招きかねないとの観点から、執行機関を一つにまとめようとの動きが出てきました。

 その行政処罰権限の集中化について初めて明確に規定したのは、96年3月17日に公布され、同年10月1日に施行された「行政処罰法」です。同法第16条は「国務院または国務院が授権した省・自治区・直轄市の人民政府は、一つの行政機関が関連行政機関の行政処罰権限を行使することを決定できる」と規定し、行政処罰権限の集中化について言及しました。

 それ以降、北京をはじめとする各地で試験的に行政処罰権限の集中化が行われてきました。国務院も「行政処罰権限を相対的に集中させる試験業務を引き続き行うことに関する通知」(00年9月8日公布、以下国務院通知という)、「行政処罰権限を相対的に集中させる業務をさらに推進させることに関する決定」(02年8月20日公布、以下国務院決定という)などを、また各地方政府もそれぞれ独自の規定を設け、その執行機関として城管局などの城管監察組織が組織されるようになりました。

3.城管の権限と身分
(1)城管の行政処罰権限

 国務院決定によれば、城管の行政処罰権限の範囲は、以下のように規定されています。
▽市景観環境衛生管理分野(都市景観標準・環境衛生標準に適合しない建築物または施設の強制撤去)▽都市計画管理分野▽都市緑化管理分野▽都市行政管理分野▽環境保護管理分野▽商工行政分野(無許可販売商人に対する行政処罰)▽公安交通管理分野(都市道路を占拠する行為に対する行政処罰)▽省・自治区・直轄市人民政府が調整を決定した都市管理分野のその他の行政処罰権限──。

 もっとも、実際には、各地方政府が独自にその行政処罰権限の範囲を定めており、上記の他にも、水道・ガスなどの供給管理、建設工事管理、駐車管理など多くの分野がその対象に含まれる場合があり、その行政処罰権限は都市行政管理の広大な範囲に及んでいます。

(2)城管の身分

 国務院通知によれば、「行政処罰権限を集中行使する行政機関の法執行者は必ず公務員でなければならない」とされています。従って、城管は公務員である必要がありますが、上記のように城管が執行する行政処罰権限は広大な範囲に及んでおり、これら全てを公務員の城管のみで行うことは現実的に難しい状況と言えます。

 そのため、城管局などの城管監察組織は、公務員の城管を補助する役割の者を一般から雇い入れ、「城管協管員」として業務の一部を担わせています。城管協管員は公務員ではないため、城管局などの業務要求に従い補助的な都市管理業務に従事するだけであり、行政上の法執行権限は有していません。

 しかし、実際には、城管と城管協管員を外見上区別することは難しく、また城管協管員が規定に違反して行政上の法執行権限を行使したり、権限があるように見せかけるなど、その権限の分担が曖昧になっており、暴力的な行政罰の執行や汚職の温床になっているとも言われています。

4.まとめ

 以上のように、城管はその暴力的な執行行為や汚職などが社会問題になったりはしているものの、広大な範囲に及ぶ都市の行政管理を効果的に実施するためには不可欠な存在とも言えます(街に出れば、「城管保清」などと呼ばれる清掃員が毎日公道の掃除をしてくれているのを見かけますが、これも城管機能の一環です)。そのため、城管および城管協管員の権限およびその行使手続をさらに明確に規範化し、暴力的執行や汚職などを厳格に取り締まり、法令に基づいた行政処罰権限の適切な執行を確保する運用が求められていると言えます。

コラム執筆者
黒田法律事務所 
安江義成弁護士
金鮮花中国弁護士
藤田大樹KLO投資顧問

黒田法律事務所・黒田特許事務所 
1995年に設立、現在日本、台湾、中国の3カ所に拠点を持ち、中国法務に強い。 現在、13名の弁護士、6名の中国弁護士、2名の台湾弁護士、1名の米国弁護士及び代表弁護士を含む2名の弁理士が在籍しており、執務体制も厚い。
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