リーガル

記事番号:T00050190
2014年5月8日15:56

 皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の顧問の佐田友です。

 少し前ですが、午後10時ごろ、台北市内を歩いていたら、待合室にたくさんの人がいる病院がありました。そこは中医(東洋医学)の病院でしたが、台湾では病院は何時まで開いているのか興味を持ったので、衛生福利部に確認してもらったところ、病院や診療所の開業時間について特に法律の定めはなく、各自の裁量で営業時間を決めるとのことでした。聞くところによると、台北で結構有名な皮膚科の診療所などは、午前1時や2時まで営業しているそうです。ちょっとびっくりですが、患者にとっては便利ですよね~。

 今回は前回からの引き続きで姓、つまり日本でいうところの名字に関する台湾のユニークな法規について紹介いたします。

 前回の本コラムにて、台湾では夫婦が結婚しても、日本とは異なり、結婚前の姓を維持することが原則であるとことを紹介いたしました。

子供の姓はどう決める?

 このように、夫婦別姓が原則であるとすると、子供の姓はどのように決められるのでしょうか。

 台湾の以前の民法の下では、原則的に父方の姓が子の姓となっていました(入り婿の場合は逆)が、これが男女平等ではないとして民法が改正され、子の出生届を出す際に、父母の姓のいずれかを子の姓として両親が合意し、両親の署名した書面を役所に提出することで子の姓が決定されることになりました。

 もちろん、両親が合意に至らない場合もあります。こんな場合はどうするのでしょうか。以前の民法には明文規定がなかったため、しばしば紛争が生じていましたが、この点も比較的最近、法律で手当てされ、申立人により役所で抽選という方法で決めることになりました。両親の間に何らかの事情があるのでしょうが、抽選で子供の姓を決めるんですよ!!なかなか、ユニークな決め方ですよね~。

 実際に抽選で子の姓が決定されるケースですが、内政部の登記資料によれば、年間に300人から400人程度ありました。抽選がどのように行われるか気になったので、同僚に調べてもらったのですが、役所によって違いがあるものの、紙や卓球のボールに「父姓」「母姓」と記載して箱などに入れ、そこから父や母、祖父母などの申請人が引いて結論を出すようです。

くじ引きは何度でも可

 しかし、申請人に該当する全ての者がくじを引けるので、申請人の間で結論が出せないこともあるようです。その場合は役所の主任がくじを引くことになるそうです。

 また、なぜかくじ引きの回数が制限されていないとのことで、出生届の提出期限(戸籍法に定めあり:出生後60日以内)以内に何度でも引き直せるようです。くじ引きという制度にするのであれば、父側と母側の代表者1人ずつがくじを引き、いずれもが同じ姓を引くまで繰り返しくじを引いて子の姓を決定し、その後はくじ引きをしないなどというルールにすれば、余計な問題は起きないのではないかと思うのですが、どうして明確に決めないのでしょうね。

 このように、くじ引きで決定されたりもする台湾の姓ですが、台湾の民法上、姓を変更できる機会も設けられています。具体的には、子供が成人する前に、一度だけですが、両親の合意で子供の姓を変更することができます。さらに、子の意思を最大限に尊重するために、子が成人した後、1回だけ、子自らが父の姓か母の姓か選択して変更することもできるようになっています。 

 

佐田友浩樹弁護士

佐田友浩樹弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日中英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。