リーガル

記事番号:T00050333
2014年5月15日15:28

 皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の顧問の佐田友です。

 最近は梅雨の時期に入ってきて、蒸し暑さを感じる日々ですが、梅雨とともに台湾でのお楽しみのマンゴーの時期がやって来ましたね~。昨年の8月、台湾に住み始めて少したったころに、マンゴーかき氷を食べてすっかり大ファンになっておりましたので、マンゴーの季節の到来を首を長くして待っていました。そして、先日、マンゴーの時期になると開店するという都市交通システム(MRT)双連駅そばのお店まで出かけて、今シーズン初のマンゴーかき氷をいただいてきましたよ~。今年は冬の寒さの影響で、マンゴーの旬が少し遅れるかもという話を聞いていましたが、私には非常においしく感じられました。これからもマンゴー、ライチ、パイナップルなどを楽しみたいものです。

弁護士に委任で

 さて、本日は、台湾では犯罪被害者が自ら刑事裁判を提起できることが刑事訴訟法で認められていることについて紹介いたします。

 台湾の刑事訴訟法において、この犯罪被害者による訴え提起は「自訴」という名称で規定があり、「自訴」は管轄裁判所に対して、「被告の姓名、性別、年齢、住所または居所、その他、特徴を見分けるに足る資料」「犯罪事実および証拠、どの法律の条項に違反しているかについての説明」を記載した自訴状を提出して行うとされています。

 ちなみに日本の刑事訴訟法では「公訴は、検察官がこれを行う」という規定があり、原則として検察官しか刑事裁判を提起できず、私人による起訴は認められていません(例外も、検察審査会という有権者から選ばれた者から構成される組織における議決を経て、指定弁護士による公訴提起が認められているのみです)。このように私人による起訴を認めない考え方は国家訴追主義と呼ばれています。

 もちろん、台湾の犯罪被害者が自ら起訴できるといっても、実際に訴えの提起については弁護士に委任しなければなりません。その他にも、直系の親族や配偶者に対しては訴えを提起できないなどの制限がいくつか刑事訴訟法に規定されています。それでも、自ら訴える機会が認められているのは、台湾の犯罪被害者にとっては有意義といえるでしょう。実際には、自訴しても、加害者の犯罪を立証するに足る証拠を集める困難さもあり、どこまで自らの思いを実現できるかは難しいところですが。

有罪は1割のみ

 統計数字を確認すると、「自訴」の困難さがよく分かります。「自訴」の結果、有罪になったのは1割程度でした。その他、統計数字から分かるのは、ここ5年間で「自訴」がなされた件数は、毎年450件から650件程度であり、「自訴」がなされる犯罪類型としては、経済犯罪が多く、詐欺罪、文書偽造罪、横領罪で6割程度を占めているということです。

 最後に豆知識ですが、上述しましたように、日本では、私人による起訴は認められていませんが、私人による逮捕は現行犯逮捕に限ってですが、刑事訴訟法上、認められているんです。「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる」という規定が根拠になっています(台湾にも同様の規定があります)。実際に、われわれが現行犯逮捕する機会って、そうあるものではないでしょうけど法律の根拠はしっかりあるんですよ~。 

佐田友浩樹弁護士

佐田友浩樹弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日中英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。