リーガル

記事番号:T00050727
2014年6月5日15:28

 皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の顧問の佐田友です。

 先月下旬ですが日本に一時帰国しまして、東京、神奈川辺りにいたのですが、日本は台湾と比べると、「涼しくて気持ちいいなぁ」って感じました。まあ、日本の梅雨も湿度がかなり高いので、梅雨が始まる前のちょうどよい時期に日本にいたってことかもしれませんね。妻の実家ではバラの花がきれいに咲いていましたよ。

 台湾に戻り、自宅に向かうタクシーの中で、「梅雨明けは端午節(旧暦5月5日、今年は6月2日)明けだよ」と運転手さんから聞きました。梅雨明けとともに本格的な夏の暑さと台風シーズンが到来するって感じですかね~。皆さんも体調管理に気を付けて、この季節を乗り切っていきましょうね~。

 突然ですが、皆さんは不動産の「訳あり物件」ってご存知ですか?例えば日本のUR賃貸住宅のホームページには、「特別募集住宅」として記載されており、「お住まいの方が住戸内などで亡くなられた住宅です」と説明されています。そして、「ご入居から1年間、家賃が半額になる住宅があります」との記載もありました。つまり、「訳あり物件」とは、住居内などで病気や自殺、犯罪に巻き込まれたりなどして亡くなられた方がおられたため、通常より安価で提供されている物件として理解いただければよいと思います。

 この「訳あり物件」に関連するお話を、今回と次回、2回に分けてコラムを書いてみようと思います。

訳あり物件「凶宅」

 このような「訳あり物件」に関連する法規として、日本には「宅地建物取引業法」という法律があります。よく、宅建業法と呼ばれる法律です。この法律において、不動産仲介業者が売却や賃貸を仲介する際に、購入予定者や賃貸予定者に対して、一定の場合に対象物件における発生事実について告知する義務が課されています。

 「宅地もしくは建物の売買、交換もしくは賃借の契約の締結について勧誘をする」などの場合に、一定の事項について、「故意に事実を告げず、または不実のことを告げる行為」が禁じられており、具体的には売買時の価格や賃貸借の成否を左右するような事実については購入予定者や賃貸予定者に対して告知する義務があるとされています。

 次に台湾において、「訳あり物件」に関連する規定として、どのような規定があるか調べてみました。台湾では、「訳あり物件」のことを一般的に「凶宅」というのですが、台湾の法規には、物件の購入者や賃貸を希望する者に、「凶宅」であることを告知する義務が明記されていません(「凶宅」という言葉も、そもそも法的な用語ではありません)。不動産委託販売契約書の手本として政府が公開している文書に「本建物(専有部分)につき、売主が権利を有している期間に殺人または自殺が発生したか否か」について記載する欄が存在していますが、特に法的な義務ではないんですね~。

 ただし、裁判で争われた場合には、裁判官によっては、不動産価値の減少を認め、関係者への賠償責任を認めたケースもありました(次回のコラムで紹介します)。

 ちなみに、私が以前、UR賃貸の特別募集住宅の存在を知ったときのことです。安さに魅力を感じつつ、一方で実際に入居するとなると「ちょっと怖いなぁ」という気持ちもあったので、妻に、「こういうとこ、どう?」と聞いたところ、妻は「人が殺されたり、自殺した人がいたっていう物件は嫌だけど病死ならいいかなぁ」と答えました。

 私は当時、「病死ならいいんかいっ」と思いましたが、皆さんの感覚ではどうですかね?病死者がいた物件を含め、「訳あり物件は絶対嫌」って人がほとんどですかね~。結局、私が気になっていた物件は、どのような事情があったのかを業者に問い合わせする前に誰かに先を越されてしまい、幸か不幸か、われわれ夫婦にはチャレンジする機会は訪れませんでした(笑)。 

佐田友浩樹弁護士

佐田友浩樹弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日中英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。