リーガル

記事番号:T00050874
2014年6月12日15:32

 皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の顧問の佐田友です。

 先日の端午節(今年は6月2日)では、皆さんも「ちまき」を食べられましたか?端午節の前には台北のパン屋さんなどでもちまきが大量に売られているのを目にしました。台湾では、端午節に家族が集まってちまきを食べるのが伝統とのことです。

 日本でも端午の節句(5月5日)にはちまきを食べますよね。ただ、全国どこでもちまきを食べるのではなく、関東ではかしわ餅を食べるらしく、地方によって多少違いがあるんですね~。

 さて今回は前回に引き続き、不動産の「訳あり物件」に関連する話を書きます。

 皆さんは「自殺の二次被害」という言葉を聞かれたことがありますか。ここでは、自殺者が出た物件の価値が下がった結果、自殺者の家族などが当該物件の所有者から損害賠償請求を受け、「近親者などの死」という一次被害に加え、物件価値の下落についての賠償責任まで負うことを指すとご理解いただければと思います。

親戚にも損害賠償請求

 私が見た台湾のあるニュースでは、台中市の62歳の女性が慢性病を患い、親の実家で自殺したという事案で、亡くなった女性の3人の子供が、母親の実家の所有者である親戚から損害賠償請求を受け、台中の裁判所はその請求を認めていました。

 鑑定によると対象の不動産価値の減損額は約75万台湾元だったとされ、原告は対象の不動産の持ち分が3分の1だったことから、裁判所は約25万元の賠償請求を認容しました。

 このニュースを見て「悲しいなぁ」と思うのは、原告と被告は多少は縁遠いのかもしれませんが、親戚同士だということです。もちろん、遺産争いで親族間に骨肉の争いがしばしば起こるのは日本も同じですが、自殺で亡くった姉か妹(いずれかは明らかではありませんでした)のせいで物件価値が下がったとして、その子どもらに損害賠償請求する原告の感覚にびっくりです。

日本では連帯保証人に責任追及

 台湾のみならず、日本においても、自殺の二次被害の問題は多く起こっているようです。

 日本では物件を借りる際などに、借り手以外に連帯保証人を要求されることが多いですよね?その連帯保証人には兄弟や親など近親者がなることが多いと思うのですが、まさにこの近親者が物件所有者から損害賠償責任を追及されるのです。もちろん、物件所有者の気持ちも理解できなくはありません。

自殺の二次被害は防ぐべき

 そこで、あくまで私個人の考えですが、物件の従来価値から算出した一定の金額について、物件所有者が補償を受ける(財源は自賠責のような保険か税金を充てる)ことで、物件所有者から自殺者の連帯保証人への損害賠償請求を禁止するというような解決方法を何とか探れないものですかね。

 日本には自殺者が非常に多いとよく話題になりますが、結局、自殺に追い込まれる人を救えないのは社会全体に責任があるとも言えるので、社会全体で一定の負担を分け合うという発想をした方がいいのではないでしょうか。

 もちろん異論はあるでしょうし、法制化するのはなかなか大変だと思いますが、自殺に追い込まれる人を減らすための努力を真剣かつ継続して行う社会の方が私は望ましいと思います。競争はもちろん重要ですが、資本主義社会だから自殺者が多くてもやむを得ないという考え方にはくみしたくないですね~。 

佐田友浩樹弁護士

佐田友浩樹弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日中英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。