リーガル

記事番号:T00052031
2014年8月11日15:47

 最近注目されている「自由経済モデル区」(以下「モデル区」という)とは、台湾政府が2012年に打ち出した経済改革政策のことであり、簡単に言えば、選定された複数の特定のエリアにおいて、まず経済自由化の関連措置を試験的に実施し、試行の状況が良好であれば、さらにその他のエリアへと段階的に適用を拡大するというものである。

 具体的には、例えば、以下の重要な経済自由化措置が含まれる。

1.モデル区への中国製品の輸入の規制緩和
2.外国の会計士、弁護士および建築士の台湾での開業に対する規制緩和
3.外国籍の者が台湾で業務を行う場合、その給与に賦課する税金を減免
4.台湾企業が海外の資金で台湾にUターン投資する場合の税金を減免
5.政府がモデル区内に一元的な対応窓口を1カ所設置して各サービスを提供

 この他、台湾政府は現在、モデル区における重点的産業としてサービス業を選定している。これには例えば以下のものがある。

1.物流業:物流業者の輸出入通関手続きを大幅に簡略化
2.医療業:医療サービスセンターを設立し、外国人向けにコンサルティング診療、医療などのサービスを提供
3.金融業:銀行の経営範囲に対する緩和
4.教育業:主として外国の大学と共同で外国人学生を募集する大学を設立

第一段階は既に開始

 モデル区の推進は二段階に分けられ、第一段階は2013年8月に既に始まっており、ここではまず蘇澳港、基隆港、台北港、台中港、高雄港、安平港、桃園空港、屏東農業生物科技園区を先行の開発エリアとして選定し、かつ、行政法規の改正により推進可能な比較的簡略な措置(つまり、行政機関が決定すればよく、立法院による法改正の必要がないもの)を、第一段階の経済自由化措置とした。

 例えば、外国人の台湾での就業に関する行政規則の改正により、現在、モデル区内で外国人を雇用する場合において、当該外国人は「2年の業務経験を有していること」という制限を受けなくなっている。開放の幅がより大きい第二段階については、立法院での「自由経済モデル区特別条例」の可決後に施行される。

進まない特別条例協議

 現在、「自由経済モデル区特別条例」の内容には、例えば、「外国人の台湾での就業をさらに開放することにより、台湾人労働者の就業の権利が損なわれないか」、「モデル区内に特別な医療機関を設立することにより、医療機関の営利事業化が生じないか」という問題などの、少なからぬ論争がある。従って、当該条例が今年中に立法院でスムーズに可決されるか否かには、まだ多くの不確定要素がある。

 しかしながら、モデル区の設置は外国企業による将来の台湾への投資に重大な影響があるため、その今後の進展状況に引き続き注目する必要がある。

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

黒田法律事務所・黒田特許事務所

1995年に設立、現在日本、台湾、中国の3カ所に拠点を持ち、中国法務に強い。 現在、13名の弁護士、6名の中国弁護士、2名の台湾弁護士、1名の米国弁護士及び代表弁護士を含む2名の弁理士が在籍しており、執務体制も厚い。
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蘇逸修弁護士

蘇逸修弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、法務部調査局に入局。板橋地方検察署で、検事として犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などの業務を歴任。2011年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。