リーガル

記事番号:T00052375
2014年8月28日15:40

 皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の顧問の佐田友です。

 先日、自宅近くの歩道がライブ会場のようになっていてびっくりしました。車道は普通に車がびゅんびゅん走っているのですが、そのすぐ横の歩道に机といすがセットされ、100人くらいの人が飲み食いしており、なんとステージまで設けられ、派手な格好をした女性歌手がノリのよい曲を歌っていました。私の自宅近くにはお寺(南福宮)があり、関係者が中元節(旧暦7月15日、今年は8月10日)に関連した行事を行っていたのではないかと思いますが、歩道のすごい占拠っぷりには笑っちゃいました。台湾人の同僚に聞くと、そこまでの規模で道路を占拠するのは珍しいけれど、昔からやっているし、数時間だけだから許されているのはでないかとのことでした。

 さて、今回も、前回に引き続き「血汗企業」について書いてみます。

 「血汗企業」とはいわば日本のブラック企業に当たり、労働者を違法に長時間働かせていたり、残業代を適切に支払っていないとして労働部のホームページ上で公表されるような会社を指して使われていることは前回紹介しました。

多くの業界で存在

 私が見たニュースでは、昨年の7月から1年間、各県市の労工局が認知した労働基準法違反内容を取材、分析して「血汗企業」ランキングというものが独自に作成されており、上位には運送会社やスーパーマーケットがランクインしていました。他にも、労働基準法違反企業を公表する労働部のホームページを確認したところ、有名な病院や銀行の名前が掲載されていたので、労働基準法に違反する事例は多くの業界にわたっていることが分かります。

 そのニュースでは、実際にどのような労働基準法違反が多かったかも紹介されており、「法に基づいて残業代が支払われていない」「法定の残業時間を超えての残業」「7日ごとに1日の休暇を与えていない」「休日出勤に対して法定の給与が支払われていない」「従業員の出勤記録が備え付けられていない」という例が多かったようです。

 企業の労働基準法違反を政府がどのように認知しているかですが、同僚に聞くと「従業員からの告発」や「ランダムな抜き打ち調査」などで違反事例を認知しているようです。

人材確保にマイナス

皆さまの会社で、労働基準法違反を起こすことがないように十分にご注意くださいね~。台湾という人材流動性が高い場所で「血汗企業」というイメージが出来上がってしまうと、ただでさえ難しい人材確保がさらに難しくなる負のスパイラルに陥ってしまうのではないでしょうか。台湾では、飲食業や冷房下での作業でない、比較的労働環境が厳しい仕事などで人材の確保が難しいという話をよく聞きます。私が行きつけにしている定食屋さんでも、「なかなかいい人が来ないのよ」というオーナーさんの愚痴を何度か聞かされています。労働環境が厳しい仕事ほど、しっかり労働基準法を守って、労働者のモチベーションを下げさせないようにすることが負のスパイラルから抜け出す唯一の方法であるように思います。

 そうそう、私が空港に向かうときに利用するバス会社も「血汗企業」ランキングに入っていました。バスの運転手さんが過剰労働で事故とか、普通にあり得そうな話ですよね??事故だけは、本当に避けてほしいので、運賃を多少は上げてもいいから、運転手さんをたくさん雇用するなど労働環境を整備してもらうようお願いしたいですね~。 

佐田友浩樹弁護士

佐田友浩樹弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日中英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。