リーガル

記事番号:T00052614
2014年9月11日15:51

 皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の顧問の佐田友です。

 最近、朝や夕方が少しずつ涼しくなってきて、秋が近づいていることを感じさせてくれますね~。私事で恐縮ですが、今年の夏は結構、風邪をひいちゃいました。一度は、寝ているときにまで咳が出て、夜中に起きてしまうという症状に見舞われ、それが薬で収まったかと思うと、少し間を置いて今度は鼻水に悩まされました。鼻をかみ過ぎて、鼻の下が荒れるほどだったんです。このような夏風邪をひいてしまったのは、エアコンを付けているときの快適な涼しさと灼熱(しゃくねつ)の暑さの繰り返しに体が対応し切れず、抵抗力が落ちてしまったからではないかと想像しています。なかなか対策も難しいので、できるだけ睡眠を取って体力を維持し、風邪をひかないようにしていきたいと思っています。

自白強要の歴史の反省から

 さて、今回は「取り調べの可視化」について書いてみます。最近、日本でもニュースになったりしているのでご存じの方もおられるでしょうが、「取り調べの可視化」とは、「警察や検察が被疑者の取り調べを行う様子を録画や録音すること」を指します。日本には今のところ取り調べ状況の録画や録音を義務付ける法律がなく、検察や警察が自主的に取り組んでいるにすぎません。

 なぜ、「取り調べの可視化」が必要なのでしょうか?それは、取り調べの場で録画、録音が行われないことから、捜査官がさまざまな方法で被疑者に自白を強いてきた歴史があるからです(最近は自白の強要がなくなっていると信じたいですが…)。

 直接的な暴力や脅迫によって自白に追い込むということは、過去においては現実にありましたし、「共犯者は自白しているから、お前も自白した方がいいよ」とうそをついて自白を引き出す(「偽計による自白」と言ったりします)ようなことも行われてきたものと思われます。自白は「証拠の王」と言われるため、捜査官はできるだけ自白を得ようと無理をするんですね。実際に犯罪を行っていなくても、あの手、この手で捜査官から絞られれば、よほど意思の強い人でなければ自白してしまっても不思議はないように思います。

 自白を有力な証拠として裁判を受けた結果、有罪判決を受け、非常に長期間刑務所にいた人が、最新のDNA鑑定により犯人でないことが分かって釈放されたというようなニュースが最近もありましたよね。

98年に録音義務化

 日本では「取り調べの可視化」をどの程度の範囲まで拡大しようか、今まさに議論がされているところですが、台湾ではなんと1998年に、刑事訴訟法において原則として被疑者の取り調べの全過程を連続して録音しなければならないという規定ができているんですね~。録画については「必要な場合」に行う必要があるとされていますが、元検察官の同僚によれば、実務上は、被疑者の取り調べについて原則、全過程、連続して録画されているとのことです。もちろん例外的に、被疑者が瀕死(ひんし)の重傷で病院にいるというような場合などには、取り調べの記録を書面に残してさえいれば、録画は不要とされています(録音は必要とのこと)。

 台湾でも以前には、自白を強要された結果、死刑となり、後に冤罪(えんざい)であることが分かった江国慶事件など痛ましい事件もあると聞きました。国家権力が冤罪を生み出すことはあってはならないことだと思います。

 取り調べの可視化は、米国の多くの州、英国、フランス、イタリア、オーストラリア、香港、韓国などでも(完全ではない国もあるとのこと)行われているそうです。つまり、世界的には可視化の方向に進んでいると言えると思います。日本では今後、どのように法制化されるのか注目していきたいですね~。 

佐田友浩樹弁護士

佐田友浩樹弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日中英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。