リーガル

記事番号:T00052880
2014年9月25日15:46

 皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の顧問の佐田友です。

 先日、私が所属している台北市日本工商会の部会の視察旅行で金門島に行ってきましたよ~。金門島は中国と台湾の対立が激しい時代に、砲弾が届く距離の最前線であった場所というイメージが強いですが、軍事対立は既に過去のものとなり、その砲弾を使って作る包丁やコーリャン酒が特産の観光地になっています。台北松山空港から1時間程度のフライトで金門島の空港に到着し、中国と激しく対立していた当時のトンネルなどの軍事施設を見学したり、干潮時にのみ歩いて渡れる島へ渡ったり(カブトガニやムツゴロウのような生き物が間近に見られて面白かったです!!)、非常に楽しい時間を過ごしました。

 もちろん、コーリャン酒もいただきましたし、包丁の製作実演なども見ることができ感激しましたね~。中国との対立が激しい時代に、テレサ・テンさんの歌を大陸に聞かせるために使われていたという48台ものスピーカーが埋め込まれた巨大な壁も印象的でした。

 金門島のような離島について定められた法規として「離島建設条例」というものがあります。同条例は、離島の開発建設、健全な産業発展、自然生態環境の保護、文化・特色の保存、生活の質的改善、住民の福利増進などを目的に制定されました。同条例には澎湖、金門、馬祖、綠島、蘭嶼および小琉球(台湾にも「琉球」という場所があるのは知らなかったです)などの地域に関する規定があり、離島の方にも一定の生活レベルを享受してもらうための補助金などについても規定されています。現地ガイドさんも、金門島の住民は医療費や学費が無料なので幸せだと言っておられました。

カジノ建設も可能

 離島建設条例には、他にも注目すべき規定があります。実は、離島におけるカジノ建設のための手続きも定められています。台湾では賭博が禁じられている(一昔前に台北市内でも見られたらしい、パチンコ屋は田舎にはなぜか残っているようですが、一般大衆が出入りできる場所で財物を賭ける行為は違法です)にもかかわらず、離島においては住民投票や一定の法整備が必要とはいえ、カジノが合法的に建設できるんです。まだ実際にカジノはありませんけどね。

 ちなみに澎湖では2009年にカジノ建設の是非をめぐる住民投票が行われ、カジノ建設賛成派は過半数を得られませんでした。しかし、12年に行われた馬祖における住民投票ではついに賛成派が過半数を占め、現在はカジノ建設のための関連法規の整備に入っていると思われます。

 ただ、この馬祖のカジノは完全に中国人観光客をターゲットにしてるんですよね~。馬祖は福建省福州市一帯の沖にあり、中国まで一番近いところは10キロメートルほどだそうですから。中国人は私が知る限り、相当ギャンブルが好きなので、実際に馬祖に自由に行ける中国人が増えれば、相当のお金を落としてもらえることが期待できるでしょう(私は中国の珠海からマカオに入る入管施設で長蛇の列に並んだことが何度かあり、身をもって中国人のマカオ好き、つまり賭博好きを実感しました)。一方で、中国政府が、中国人が台湾に多くの金を落とすのを嫌がっているという話もあり、今後の動向が気になります。

 日本でもカジノに関するニュースがだんだん増えてきてますよね。「先進国でカジノがないのは日本くらい」だとか、「多くの雇用を生み、観光客誘致にもつながる」などという賛成派の意見と、「ギャンブル依存に陥る人が増える」とか、「治安が悪くなるのではないか」という反対派の意見もありますよね。自国人はカジノに入場不可にしているソウルのカジノのようなスタイルもあり得るのでしょうし、建設場所の問題も含め、実際にカジノを解禁するにしても議論すべきことは多いですよね。

 私の住むマンションの管理人さんに金門に行ったと話したら、「40年ほど前に徴兵でいたんだよ」と笑って返してくれました。ある年齢以上の台湾男性で、徴兵で金門にいた人は結構いるんだろうなぁって改めて思いましたね。金門の巨大なショッピングモールを管理人さんが見たら、びっくりするだろなぁ。 

佐田友浩樹弁護士

佐田友浩樹弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日中英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。