リーガル

記事番号:T00053659
2014年11月6日15:39

 皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の顧問の佐田友です。

 台湾に初めて来た人がびっくりすることに、道路を走るバイクの多さが挙げられますよね!!台北市内などは都市交通システム(MRT)ができたことで、バイク利用者は以前よりは少なくなっているのでしょうが、それでもすごい数ですよね~。多くのバイクをかいくぐって走る車のドライバーも大変だと思います。日本人駐在員の方でも車を運転される方がおられますが、私は怖くてできません。運転技術にも自信ないです。バイクを運転していると車以上にヒヤッとすることがありそうです。私は時々、子どもを含めバイクに3人乗りをしている姿を台北市内で目撃しますが、通常の小型バイクは法律上、2人乗りしか認められていないので本当は違法なはずなんですけどね。先日なんて、ほんとに生まれてまだ数カ月くらいの子どもを抱いた女性が、男性が運転するバイクに乗ってるのを見ましたが、事故に巻き込まれないことを祈るばかりです。

 さて、今回は台湾において、雇用主が労働者を転勤(中国語では、「調動」です)させるに当たり、実務上、要求される原則があることを知りましたので紹介したいと思います。

転勤に細かな原則

 雇用主と労働者は雇用契約で規定される仕事場所や従事する労務の性質を変更する場合、双方が自主的に新たに約定する必要があります。雇用主の側に労働者に転勤してもらう必要性が確かにあったとしても、転勤指示に労働者が従わないからといって常に雇用主が解雇できるわけではありません。

 台湾では、実務上、労働者を転勤させるに当たり、1)雇用主の事業経営に必須であること 2)雇用契約に違反するものでないこと 3)労働者の給与およびその他の労働条件に不利な変更をしないこと 4)転勤後の業務がもともとの業務を行う体力、技術をもって任に堪えること 5)転勤後の仕事場所が元の場所から遠く離れている場合、雇用主が必要な協力(例えば、交通費の支給や宿舎の用意、住居費の補助など)をしなければならないという原則が、順守される必要があるようです。

 これらの内容は労働基準法などの労働法規に明文で規定されているわけではありません。しかし、台北市労働局などではこのような原則があることをホームページ上で公開しています。

 ですから、特定の従業員を退職させるべく必要性もないのに遠隔地への転勤を命じるというような会社があり(こんな会社は実際にはないとは思いますが…)、従業員がこの業務命令に従わず、会社が対象の従業員を解雇したとしても、従業員から争われれば会社側が敗れる可能性が高いってことですね~。

 このように労使関係については、法律はもちろん、実務運用についても注意を払う必要があるといえます。

 その他、台湾では夫婦の実権を妻が握っていて、夫の仕事が忙しすぎ、残業などが多い場合に、「その会社辞めたら」と妻が言い始め、結局、夫も逆らい切れず退職してしまうというような話も実際にあるようです。日本でも介護や育児などを理由とした転勤拒否が裁判で争われることもありますが、台湾では日本以上に、従業員の転勤を検討する段階で、夫婦関係や家族関係などを慎重に考慮した方がよいのかもしれませんね~。 

佐田友浩樹弁護士

佐田友浩樹弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日中英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。