リーガル

記事番号:T00054330
2014年12月11日15:38

 皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の顧問の佐田友です。

 少し前に、台湾の映画『那些年、我們一起追的女孩(あの頃、君を追いかけた)』を見る機会がありました。さすがに台湾史上に残るヒット作だけあって非常に楽しめましたね。「台湾の学校の卒業式でも『蛍の光』が流れるんだなぁ」とか、「台中の大地震のときは、台北でも結構揺れたんだ」とか、「彰化は暑いから、家の中では素っ裸で過ごす人がいてもおかしくないな」(冗談です)とかいろいろ印象的なシーンがありました。何と言っても主役の男女が魅力的でしたね~。主演男優の方は今年、北京で逮捕されるという残念なニュースもありましたが、ぜひ再起してほしいものです。まだ見ておられない方はぜひ一度、見てみられるといいと思います。青春時代を描くストーリー自体も共感できる人は多いでしょうし、台湾の風俗なんかも面白く見ることができると思いますよ~。

 さて、本日はタッチパネル大手、勝華科技(ウィンテック)の会社更生手続き申請について取り上げてみたいと思います。

日本企業にも大きな影響

 今年の10月にウィンテックが会社更生(中文では「重整」)手続き申請を行うというニュースがリリースされ、同社に対して債権を有している会社の方は青くなったことでしょう。私が少し調べただけで、東京証券取引所に上場しているある会社の香港子会社がウィンテックに145億円を超える債権を有しており、取り立て不能または取り立て遅延の恐れが生じたとして特別損失の計上を発表していました。

 この会社以外にも、液晶モジュールを販売する会社の子会社には数十億円の売掛金があったようですし、日本の会社、その台湾子会社などに与えた影響も相当大きかったと言えそうです。

 台湾における会社更生手続きは会社法に規定があり、基本的に日本と同じく会社更生手続き申請と同時に、会社財産の保全処分などを求める申請もなされます。今回のウィンテックについても、11月14日に台中地方法院により、「ウィンテックは、自社が負う債務を履行してはならない」「債権者は仮差し押さえ、仮執行などの強制執行を本裁定公示後90日以内は停止しなければならない」などの内容の裁定が下されました。同法院において、現在、更生の可能性を慎重に検討しており、遠くない時期に、更生手続き(更生管財人などを選定して関係人集会を開き、更生計画を審議、議決する)に進むか否かが決まるはずです。

更生に成功した東隆五金

 私が同僚から聞いた、更生に成功した比較的有名な例として、上場会社の東隆五金工業のケースがあります。同社は1999年に裁判所に対し更生の申し立てを行い、更生裁定が下され、続く更生計画の関係人集会での議決を経て、約3年で更生手続きが完了しました。その後の東隆五金の経営状況は良好で、これまでのところ、更生計画に従って債務の大部分が弁済されているとのことです。

 東隆五金が更生に成功した主な要因には、次のことが含まれていると一般的には考えられています。(1)更生計画が具体的かつ実行可能なものであったこと(更生管財人の能力が高かったこと)(2)東隆五金には、処分可能な、または借金のために担保として供することが可能な一定の不動産などの資産があったこと(3)東隆五金の本業自体に、将来にわたり利益獲得の可能性があり、東隆五金を解散または破産させるよりも、ある程度譲歩して「東隆五金に継続して経営させた方がよい」と債権者などが判断したこと。

 今回、ウィンテックについて、裁判所がどのような判断をするか注目されます。ウィンテックが会社更生手続き申請を行った時期からすると、今年の年末を迎える前のタイミングで裁判所が更生を許可するか否かの裁定を行う可能性があります。仮に裁判所が更生を許可する裁定を下した場合には、債権の存在を証明する書類を更生監督者に提出することが必須になります。この更生監督者への申告がなされなければ、更生手続きによる弁済を受けることができないことが、会社法上、明記されていますのでご注意くださいね~。 

佐田友浩樹弁護士

佐田友浩樹弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日中英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。