リーガル

記事番号:T00054461
2014年12月18日15:44

 皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の顧問の佐田友です。

 来年の春節(旧正月)のお休みは2月18日からで、まだ少し先のようにも思えるのですが、旧正月休みの初めに台湾から日本に行く飛行機の便と、終わりに日本から台湾に戻る便は既にほとんど予約で埋まってしまっているようです。遅ればせながら私も実家に帰省しようと考えてチケットを探し始めたところ、状況は結構厳しいです(もっと早めにチケットを予約しない私が悪いのですが…)。これはやはり、昨今の急激な円安もあり、従来にも増して台湾人の旅行先として日本の人気が高くなっていることも原因の一つなんでしょうね~。日本を観光で訪れる台湾の方が増えるのは非常に素晴らしいことなので、うれしい悩みではありますね。

 さて、本日は、相続税について書いてみます。

税率はたった10%

 調べてびっくりしたのですが、台湾の相続税は、なんと一律10%しかありません。相続財産から所定の額が控除された後の課税対象の遺産額に対して10%の相続税(原文では「遺産税」とされていますが、以下「相続税」とします)がかかるということが、「遺産および贈与税法」という法律に規定されています。このような低い税率は2009年の同法改正によって規定されたもので、改正前は累進的な内容になっており、課税対象の遺産額が1億台湾元を超える場合には、50%の相続税がかかるものとされていました。

脱税意欲を低める

 「50%→10%」というような極端な税率の低減が行われた狙いとして、財政部は「脱税しようという誘惑に駆られないようにしたかった」(中文では「降低避稅誘因」)ということを挙げています。

 「いや、きちんと脱税しないように取り締まればいいんじゃないのかな」などと私は思ってしまうのですが、実際に一部の台湾のお金持ちは海外に財産を移すなど相続税を支払わなくて済むようあの手この手を実行していて、税務当局の手に負えなかったということがあるのかもしれません。しかし、一般大衆からすれば、富の偏在の固定化につながりかねない相続税の税率低減を行うよりは、「課税逃れは許さない」というスタンスで、日本の「マルサ」のような専門人員を拡充し、税収を上げ、社会全体のために使ってもらうほうが望ましいと考えるんじゃないかなぁと思ってしまいます。

 財政部のホームページによれば、贈与税も含まれるので、単純な評価は難しいですが、09年の改正後の相続税と贈与税納付額は223億元強で、改正前3年の平均である287億元強から64億元程度税収が減ったとのことです。ここ3年も236億元、282億元、234億元と推移しており、税収が大幅に減っているわけではないとしています。まあ、これは政府の見解なので、見る人が見れば「大幅に減っている」とも解されるとは思います。

 ちなみに、日本の相続税は昨年改正されており、来年の1月1日から改正法が施行され、相続財産によって55%まで累進的に課税額が定められておりますので、台湾の現行の規定と比べれば、非常に高い相続税率が定められているといえます。その他、今回の改正では、定額控除の金額の引き下げ、つまり、相続税を納める必要がある人を増やす方向の改正もありましたので、「実家には、それなりに資産があるなぁ」というような方は気を付けてくださいね~。

佐田友浩樹弁護士

佐田友浩樹弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日中英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。