リーガル

記事番号:T00055670
2015年3月5日16:02

 皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の顧問の佐田友です。

 少し前の話ですが、初めて台北市の郊外にある猫空に行ってきました。猫空は自然豊かな環境の中で、散策をしたり、付近で採れるお茶を楽しめることで知られています。都市交通システム(MRT)の動物園駅でロープウエーに乗り換えて行くことができます。私が訪れた日は、強風の影響で残念ながらロープウエーは動いていなかったのですが、バスでも行けました。立ち寄ったお茶屋さんで妻とゆっくりお茶と料理を楽しみましたが、そのお茶屋さんが24時間営業していることに驚きました。お客さんが深夜にも来るってことなんでしょうね。これからの季節、猫空は標高が高いので、多少の涼しさを味わえるでしょうし、台北市内の騒がしさを離れて気分転換するには非常に良いスポットだと思いますよ~。

 さて、本日は、労働者からの罰金徴収について取り上げてみます。皆さまの会社では、例えば、遅刻した労働者への制裁として、罰金を徴収されていますか?

日本では罰金徴収可能

 そもそも労働者から罰金を徴収することが法的に認められているかについてですが、日本では労働基準法に「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合」における具体的な基準が規定されていますので、就業規則において、「減給の制裁」すなわち罰金を規定し、労働基準法所定の基準内であれば、労働者から罰金を徴収することが可能です。ちなみに、日本の労働基準法においては、「1回の額が平均賃金の1日分の半額」(ここでいう「平均賃金」についても労働基準法において定めてあります)「総額が1賃金支払い期における賃金の総額の10分の1」を超えてはならないという基準が設けられています。

 これに対して台湾では、罰金に関連する規定として、労働基準法に「雇用主が違約金または賠償費用に充当するためにあらかじめ労働者の賃金を控除してはならない」との規定があり、賃金からの減給が認められないことは明らかですが、減給という手段によらない罰金の徴収が認められないかについて特に法律上、規定はないようです。

ポイントは「合理的な範囲」内か

 この点について、台湾の実務では、「賃金からの減給が認められない」だけで、別途賞与を減額することや罰金として別途徴収することまでは法的に禁じられていないと解釈し、実際に、合理的な金額の罰金を労働者から徴収することは行われているようです。

 私は台湾では労働者に有利な判断が裁判などで下されることが多いと聞いており、そもそも罰金を労働者から徴収することは難しいのではないかと思っていたのですが、合理的な範囲内であれば、罰金を科すことは可能なんですね~。よって、遅刻した労働者は、実際に働いていない時間は当然減給される(「ノーワーク・ノーペイの原則」)のに加え、就業規則などに規定があれば、一定の罰金も負担することになります。どの程度の金額まで合理的と言えるかは担当する裁判官次第のところもあり、いくらなら大丈夫ということは明確にできないところです。

 実情を同僚の台湾人弁護士に聞いても、雇用主が労働者に罰金を科したことが裁判所で争われる場合、雇用主が敗訴するケースが大多数を占めているようですので、罰金制を導入するにしても金額は低めに設定するほうが無難かもしれませんね~。