リーガル

記事番号:T00055950
2015年3月19日15:33

 皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の顧問の佐田友です。

 私が時たま、タピオカやアズキ、芋頭などが入った甜品(デザート)を食べに行く店が台北市内にあるのですが、その店のレジの後には、法律事務所が発行したと思われる「法律顧問証書」が飾ってあります。何でまた、甜品のお店に「法律顧問証書」が掲げられているのかと思って、同僚に聞いてみました。すると、以前は、このような証書を営業許可書などと一緒に飾っていた比較的小規模の店舗がそこそこあったらしく、どうやら、「『法律を順守しています』『何か問題が起きても法に従って解決します』というようなイメージをお客に与えるため、また、ちょっと見栄えを良くするために飾られているのではないか」との意見でした。最近はそれほど多くはないようですが、私は他にもクリーニング屋さんで「法律顧問証書」を見掛けたことがあります。日本では、このような法律事務所名での「法律顧問証書」が発行され、店舗に掲げられるということはないので、非常に面白く思いました。 

 さて、本日のコラムですが、来週と2回に分けて裁判の公開について取り上げてみたいと思います。

日本・台湾とも原則公開

 そもそも裁判の公開は、日本では憲法において「裁判の対審および判決は、公開法廷でこれを行う」と規定され、最高裁判所も過去の判決で、同規定に関し「本条は、裁判を一般に公開して裁判が公正に行われることを制度として保障する」ものと言及しております。つまり、裁判の公開が原則とされており、例外的な場合として、「裁判所が裁判官の全員一致で、公の秩序または善良の風俗を害する恐れがあると決めた場合」に非公開とされています。

 これに対して、台湾では法院組織法という法律で、やはり「訴訟の弁論および裁判の宣告、判示は、公開法廷でこれを行わなければならない」とされ、日本とほぼ同様の例外規定が設けられています。

 よって、裁判の公開原則に基づき、基本的に誰でも裁判を傍聴できますが、日本でも台湾でも傍聴については一定のルールが存在します。

台湾は「児童」の入廷禁止?

 おおよそ似た内容を規定しているのですが、台湾の傍聴規則には日本の規定と異なる点があり、例えば、10歳未満の児童を伴っての傍聴は禁じられています。日本では、裁判所傍聴規則に基づき裁判長が法廷秩序維持のため必要があると認めるときには児童の入廷を禁ずることができるのであって、一律に児童の入廷が禁じられているわけではありませんし、また、児童が何歳以下なのかを明確に定めた規定はありません。私のうっすらとした記憶では、中学生か高校生のときに学校の行事で裁判を傍聴したことがあるので、中学生ぐらいになっていれば傍聴が禁じられることはないと思います。

台湾も傍聴時のメモ取り可能だが…

 その他の傍聴ルールに関する話として、傍聴時のメモ取りが許されるかという問題があります。実は、日本では過去において、傍聴しながらメモを取ることが許されていませんでした。そこで、レペタさんという外国人が日本国を相手に争った結果、平成元年の最高裁判決で、「傍聴人が法廷においてメモを取ることは、その見聞する裁判を認識、記憶するためになされるものである限り、尊重に値し、故なく妨げられてはならない」との判断が下され、その後、全国の裁判所でメモを自由に取ることができるようになったのです。この運用の改善は非常に有意義であり、日本人は本当にレペタさんに感謝しなければなりませんね。

 この点、台湾においてメモを取ることについては、傍聴規則において特に禁じられておらず、実務上も、傍聴中にメモを取ることはできるようですが、たまたま同僚が見つけてくれたニュースで、今年の2月に、澎湖地方法院の裁判官が傍聴者に対してメモを禁じたという報道がありました。ちょっとびっくりなニュースですね~。 

佐田友浩樹弁護士

佐田友浩樹弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日中英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。