リーガル

記事番号:T00056093
2015年3月26日15:46

 皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の顧問の佐田友です。

 まだ3月ですが、台中では35度近くになったというニュースもあったように、暑さを感じる日が増えてきましたね~。炎天下で外出する際には熱中症にならないように小まめに水分補給した方がいいと思います。最近、日本で有名なお茶のブランドのペットボトルを購入して飲んでいたのですが、そのペットボトルをたまたま眺めていて、いろいろな情報が記載されているのに気付きました。「日本でブレンド茶売上ナンバーワン」「15種類の日本から輸入した天然素材」などのアピール文句もあれば、製造自体は台湾で行っていることの記載もありました。その他、台湾でそのお茶を製造するに当たっての授権関係の記載までありました。まず、権利を有する会社が英国領バージン諸島の会社の台湾支店に授権し、続いて、そのバージン諸島の会社が台中所在の会社に授権しているんです。普段、生活していると気に留めることは少ないですが、購入した商品に、どんな広告や説明がされているのか眺めてみるのも面白いかもしれません。

開廷時の録音義務

 さて、本日のコラムですが、先週に引き続き裁判の公開について取り上げます。先週のコラムでは、日本も台湾も裁判の公開が原則とされていることや傍聴に関するルールについてなどを紹介いたしましたが、台湾では、他にも裁判の公開に関連し、日本と異なる原則が存在しています。

 台湾では実は、裁判自体が裁判所によって録音されることが法律に定められています。根拠規定として法廷録音弁法という法律があり、同法において、「裁判所は民事、刑事、行政訴訟案件および少年保護事件の開廷時において録音しなければならない。」という規定があるんですね~。

日本では必要に応じて録音

 日本でも、証人尋問や被告人質問は録音がされることはあるものの裁判全体にわたっての録音を裁判所に義務付けてはいません。具体的には、日本の刑事訴訟規則において、「証人、鑑定人、通訳人または翻訳人の尋問および供述並びに訴訟関係人の申立または陳述については、裁判所速記官その他の速記者にこれを速記させ、または録音装置を使用してこれを録取させることができる」と規定されており、あくまで、裁判所として必要に応じ尋問などを記録する場合に、速記や録音という手段を講じるだけであるこということが分かります。実際に、台湾では全ての民事、刑事の裁判が録音されているらしいです。相当膨大な量の録音が必要になりますよね~。

録音記録の交付請求が可能

 ちなみに、台湾では、以前は法に基づき裁判記録の閲覧を請求できる人などが、開廷の翌日から、裁判が確定して30日が経過する前までの期間、費用を納めて申請することで、裁判の過程を録音した記録媒体を交付請求できるとされていました。しかし、現在の法規では、当事者や代理人、弁護人など一定の者が交付請求こそできるものの、開廷の際にその場で陳述した者に書面の同意を得ることが条件とされ、その上、法律上の利益を主張、保護する必要がある場合に限り、裁判所が法廷の状況を録音した記録媒体の交付請求を認めるということになっており、実務上、記録媒体の交付請求が認められる確率は低いものとなっています。「法律上の利益を主張、保護する必要」の有無は、裁判官が判断する関係で、請求を却下するケースが多いのでしょう。私が見たニュースでは、請求が認められる確率は昨年の1~8月までの期間で、なんと15%に届いていないとしていました。

 このような状況からすれば、法廷録音制度は存在するものの、当事者にとって録音を入手できるかどうかは裁判官次第であり、どちらかといえば期待薄の仕組みになっているようです。 

 

佐田友浩樹弁護士

佐田友浩樹弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日中英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。