リーガル

記事番号:T00057345
2015年6月4日15:10

 皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の顧問の佐田友です。

 先日、バスに乗ろうと思い、そのバスの運転手さんに「南京復興に行きますか?」と中国語で乗車前に確認しました。すると、その運転手さんは、私が日本人だと分かったようで、流暢な日本語で「南京復興に止まります」と答えてくださいました。そのような日本語での運転手さんの対応は初めてでびっくりしちゃいました。

 驚きは続きます。南京復興のバス停が近づくと「次は南京復興です」と日本語でアナウンスしてくださり、日本語版の台北都市交通システム(MRT)ガイドまで手渡してくださったのです。「私は観光客ではないんです」と言うのもなんでしたので、ありがたく親切をお受けしました。バスの運転手の方から、MRTガイドを渡されるのも面白かったですが、それ以上に台北市内を観光するのに有意義な情報が載っているガイドを渡してくださるホスピタリティに感動しましたね~。素晴らしいバスの運転手さんでした。

 さて、本日は、解雇についての報告義務を取り上げてみたいと思います。

離職10日前までに報告必要

 皆さまの会社でもさまざまな状況に応じて、従業員を解雇しなければならない場面があることでしょう。その際に、労働基準法所定の解雇事由がなければ解雇できないというのが大原則になります。このことについてはよく理解されていると思いますが、台湾では解雇を実際に行うに当たり、対象の従業員が離職する前に主管機関などへ報告を行う必要があるんです。

 具体的には、就業服務法という法律に「雇用主は、従業員を解雇するときには、従業員の離職日の10日前までに、解雇される従業員の氏名、性別、年齢、住所、電話番号、担当職務、解雇事由および就労指導の必要性などの事項を資料に記載して、現地の主管機関および公立就労服務機構に報告しなければならない」と規定されています。ここでいう現地の主管機関とは、各県市の労働局を指します。

 このような報告をさせる目的は、公立就労服務機構に、解雇された者が必要とする就労指導を事前に把握、計画させることにあるようです。大量解雇の場合は別にして、1人の従業員を解雇するような場合にまで、ハローワークなどに報告をしなければならないというような規定は日本にはないと思います。その意味で、ちょっとびっくりな規定ですが、法律に義務として規定されており、罰則もありますので、皆さまの会社で解雇を行うときには、ご注意ください。ちなみに、罰則は3万台湾元以上、15万元以下の罰金とされています。

大量解雇時は計画書送付

 他にも台湾において、社員を大量に解雇しなければならない状況に陥ってしまった場合には、別途、大量解雇労働者保護法という法規に規定された主管機関への報告義務があります。その規定によれば、解雇日の60日前までに、解雇計画書を主管機関に送付し、事業組織の労働組合または全従業員に通知し、公告掲示することが必要です。そして、解雇計画書には、(1)解雇理由(2)解雇部門(3)解雇日(4)解雇人数(5)解雇対象の選定基準(6)解雇手当の計算方法および転職指導計画──を記載しなければならないとされています。この報告義務に違反した場合の罰則は、より重いものであり、「事業組織が、期限内に主管機関へ解雇計画書を通知せず、または公告掲示を行わなかった場合は、10万元以上、50万元以下の過料に処せられる。主管機関が期限を定めて通知または公告掲示するよう命じたにもかかわらず、通知または公告掲示を行わなかった場合は、通知または公告掲示するまでの日数に応じて連続して過料に処せられる」とされています。

 どの程度の解雇について大量解雇とされるかについてですが、大量解雇労働者保護法に規定されており、例えば、雇用労働者数が30人未満である場合、「60日以内に10人を超える労働者を解雇する」ケースは大量解雇とされます。この他、組織の規模に応じて大量解雇とされる場合が同法には明示されていますので、参考にしていただければと思います。 

佐田友浩樹弁護士

佐田友浩樹弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日中英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。