リーガル

記事番号:T00058745
2015年8月17日16:04

 8月8日、大型の台風13号(アジア名・ソウデロア)が台湾を横断し、甚大な被害をもたらした。8日は各県市の公営、民営の機関の大部分が休業した。一方、一部の業種、特に百貨店、飲食店、映画館などのサービス業の従業員は、いつもと変わらず出勤した。

 労働者が悪天候の中も出勤して顧客にサービスを提供することは、もちろん敬意に値するが、会社が所在する県市の政府が出勤停止を宣言した場合、雇用主は労働者に出勤を要求できるのだろうか。また、労働者は出勤を拒否できるのだろうか。

 「自然災害発生時の事業組織における労働者の出勤管理および賃金給付の要点」第6点では、次の通り規定されている。

 自然災害の発生時(後)、下記のいずれかに該当する場合、雇用主は、無断欠勤、遅刻と見なし、または私用休暇またはその他の種類の休暇として処理するよう労働者に強制してはならず、かつ、労働者に業務の補塡(ほてん)実施を強制し、未出勤分を皆勤手当から差し引き、解雇し、またはその他の不利な処分を行ってはならない。

1)労働者の勤務地について管轄区域の首長が、「自然災害における出勤および登校停止作業規則」(以下「作業規則」という)の規定に基づいて出勤停止を通達したために、労働者が出勤しなかった場合。

2)労働者の勤務地について管轄区域の首長が、作業規則の規定に基づき出勤停止を通達してはいないが、労働者が明確に台風、洪水、地震などの要因によって交通機関に運休・遅延が生じたために、出勤時刻に遅刻しまたは出勤できなかった場合。

3)労働者の勤務地について管轄区域の首長が、作業規則の規定に基づき出勤停止を通達してはいないが、その居住地域またはその通常の出勤(退勤)時に必ず経由しなければならない地域について、当該管轄区域の首長が作業規則の規定に基づき出勤停止を通達したために、出勤しなかった場合。

 上記の規定によれば、基本的には、会社の所在地、通勤途中で必ず経由しなければならない地域または労働者の居住地が所在する県市の政府が出勤停止を宣言した場合であれば、台風の日に出勤することを雇用主が要求したとしても、労働者は出勤しなくてもよい。雇用主が出勤しなかった労働者に対し皆勤手当から差し引いた場合、労働基準法第22条に対する違反となり、同法第79条に基づき、2万台湾元以上30万元以下の過料が科される。

 台湾には毎年いくつもの台風が上陸するので、外国企業におかれては上記の規定に特にご注意いただきたい。営業上の必要により、台風の日の出勤を従業員に要求する必要性がある場合、労使紛争が発生しないよう、出勤手当の追加支給などの方法で柔軟に処理することをお勧めする。 

蘇逸修弁護士

蘇逸修弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、法務部調査局に入局。板橋地方検察署で、検事として犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などの業務を歴任。2011年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。