リーガル

記事番号:T00058954
2015年8月27日15:52

 皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の佐田友です。

 最近の衝撃的なニュースの筆頭格として挙げられるのは、中国・天津での大爆発事故ですよね。激しい爆発の瞬間、そして爆発後のまるで戦場のような街並みなどを放送したニュース映像には、皆さまもびっくりされたことでしょう。私が見た台湾のニュース映像の一つに、監視カメラの映像と思われますが、ドアの前にいた人が爆風で吹き飛ばされるというものがありました。確かにものすごい爆風であることは伝わりましたが、非常に怖い気持ちになったのも事実でして、小さなお子さんも含め誰もが見るテレビのニュースでここまで人を畏怖(いふ)させるような映像を流すことに問題はないのかなぁと思ってしまいました。人は忘れる生き物であるから、「記憶はどんどん薄れていくので大丈夫」という考え方もあるのかもしれませんが、人によってはトラウマになってしまわないのかなぁと少し心配になりました。

電話会議システムで訴訟手続き

 先週は台湾の司法院のペーパーレス化への取り組みということで裁判記録の電子情報化について触れましたが、このような科学技術を裁判手続きに生かすものとして、他にも電話会議やテレビ会議システムの利用が挙げられます。

 日本の民事裁判では、裁判所が判断に必要な事実関係につき当事者間に争いがあり、争点および証拠の整理を行う必要がある事件について、証人に尋問するなどの証拠調べを争点に絞って効率的かつ集中的に整理できるように、「争点および証拠の整理手続き」を行う場合があります。そして、この整理手続きを行うに当たり一番多く利用される弁論準備手続き(法廷以外の準備室などにおいて行われる必ずしも公開を必要としない手続き)において、電話会議システムを使うことがよくあります。

遠距離の証人尋問で利用

 そこで、台湾では電話会議やテレビ会議システムが裁判手続きにおいて使われることはないのか興味を持ち調べたところ、民事裁判、刑事裁判を問わず、証人尋問を行う場合に、テレビ会議システムを使用できるという規定を見つけることができました(ただし、実務上は民事裁判ではほとんど使われることはないとのことです)。

 そのうち刑事裁判に関する法規は、遠距離にいる証人への尋問を行うことについて定められた「刑事訴訟遠距離尋問作業方法」(中文の名称は「刑事訴訟遠距訊問作業弁法」です)という法規で、尋問のために証人が所在する場所の政府機関や裁判所、検察局の設備を使用すること、当該設備は声と映像が相互にやりとりできる、すなわちテレビ会議システムでなければならないことなどについて規定されています。

 ちなみに日本においては、民事、刑事訴訟のいずれにおいても証人尋問を電話会議、テレビ会議システムを通じて行うことはできません。これは、裁判官などが直接、自分の目で証人の尋問時の受け答えや態度などを観察することを重視しているからであると考えます。もっとも、遠隔地で行われる裁判において、当事者や弁護士の出廷の負担を軽減する必要があることは日本も同様であり、証人尋問や証拠調べなどの一部の手続き以外においては、テレビ会議システムの利用などが進んでいくのかもしれませんね~。 

佐田友浩樹弁護士

佐田友浩樹弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日中英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。