リーガル

記事番号:T00059082
2015年9月3日15:51

 皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の佐田友です。

 私の自宅の近くに、それほど大きくはないのですが、近所の人の憩いの場になっている公園があります。100年以上の樹齢を誇るガジュマルをはじめ、桜や草花がある他、遊具も置いてあります。狭いスペースながらおばちゃん軍団がダンス練習に励んだり、子どもたちがローラーブレードの練習をしている姿を目撃することもあります。涼しい夜には外国人留学生と思われる方々が酒盛りしていたりもします。私は基本的には最寄りの台北都市交通システム(MRT)の駅と自宅の間の通勤路として公園の中を毎日歩いているだけですが、公園の中では少しキレイな空気を吸えるような気がして、石の上に座って深呼吸したりしています。この公園で先日、日本統治時代の台湾総督として有名な児玉源太郎の名前が書かれてある石のテーブルを発見して驚きました。そのテーブルには、この辺りに児玉源太郎の別荘があったというようなことが書かれていました。私は2年ほどこの近辺に住んでいたのに全く気付きませんでしたね~(笑)。他にも、この公園には見たことのない鳥が出没したり、雨のときに巨大なカタツムリが出てきたり、いろいろ発見があって楽しませてもらっています。

日台の離婚事由規定

 本日は台湾の離婚事由について日本と異なるところがあって面白いと思いましたので、今週、来週と2回に分けて皆さまに紹介させていただきます。

 そもそも離婚事由とは、協議による離婚ができない場合に、裁判を通じて離婚を相手方に強制する根拠となる事由を指し、日本でも台湾でも民法に規定があります。

 日本の民法においては、離婚事由は、「①配偶者に不貞な行為があったとき②配偶者から悪意で遺棄されたとき③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」と規定されています。

 台湾の民法においては、日本の離婚事由より多岐にわたる離婚事由が規定されています。例えば「夫婦の一方が他方の殺害を意図したとき」。確かにこんな状況が明確に立証できるなら、日本でも離婚事由の⑤に該当するとして裁判で離婚が認められるように思います。例えば、殺害を依頼するメールを第三者に送付した記録が見つかったときは離婚が認められるでしょう。夫婦げんかで包丁を振りかざしたくらいで(怖すぎますが)、この離婚事由に該当するといえるかどうかは裁判官次第ですかね~。

治療不可の疾患も離婚事由に

 台湾の民法所定の離婚事由には、他にも、「治療不可能な悪疾(あくしつ)があるとき」があります。「悪疾」という言葉は、辞書には載っていましたが、あまり使わない言葉ですよね。「たちが悪くて、治りにくい病気」という意味で、つまりは、配偶者に治療不可能な病気があるときに台湾では離婚が認められるということになります。日本では、④の精神病だけ明記されていますが、それ以外の病気は離婚事由として認められる可能性は低いように思われます。

 もっとも、台湾でも簡単に認められるわけでもないようで、過去の裁判例によれば、不妊症や心臓病などでは離婚は認められませんでした。認められた例としては、植物状態になって3年以上が経過した場合やエイズを発症した場合などがありました。エイズに関して言えば、医療の進歩で以前のように高い致死率があるわけではないと思われるので、現在も「悪疾」として台湾で離婚事由に該当するかは微妙かもしれませんね~。別の人と姦通したということが立証できれば、それを理由に離婚が認められる可能性ももちろんありますけど…。 

佐田友浩樹弁護士

佐田友浩樹弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日中英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。