リーガル

記事番号:T00059558
2015年10月1日15:41

 皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の佐田友です。

 私は台湾のテレビで朝のニュースをよく見ているのですが、時々、面白いCMを見掛けます。最近、「いいなぁ」と思ったCMを紹介しますと、カップルがバイクに2人乗りして夜の街を走っているシーンから始まります。そして、バイクが止まり、運転していた男性が彼女に、「毎日、君を家までバイクで送るのは疲れたよ」と言います。彼女はびっくりして涙ぐみ、「あなたはどうしたいの?」と男性に問い掛けると、男性は指輪を彼女に見せ、「一緒の家に住もうよ!」と語り掛けるというようなストーリーです。ちょっと、面白いCMじゃないですか?ただ、難点を挙げるとすれば、そのCMが何のCMだったか思い出せないってことですかね(笑)。CMとしては意味がないですよね~、商品を意識付けられないと。

 他にも、何かの薬のCMで、女性が彼氏に対して、「私と仕事とどっちが大切なの」と鬼気迫る口調で問い掛けるCMがあるのですが、これもオチがあって、なかなか面白いCMです。初めて見たときには、一人で笑っちゃいましたから。ここではそのオチを書くと見たときに面白くないと思いますので、テレビを見てみてくださいね~。もちろん、どこかでお会いしたときに聞いていただければ、お答えしますけど。

 本日は、捜査のための通信傍受について書いてみたいと思います。少し前に台湾は捜査の一環で盗聴がよく行われるというような話を聞いたので、興味を持ったこともあり少し調べてみました。

裁判所の許可必要

 台湾では、犯罪捜査のための通信傍受について規定する「通信保障および監察法」(中国語では「通訊保障及監察法」です)という法律があり、同法において、所定の犯罪の容疑者に対して、「検察官は警察機関を通じてまたは職権により書面で裁判所に通信監査書の許可を申請しなければならない」として、裁判所の許可を得て初めて、つまり、一定の制限の下で、捜査のために盗聴などの通信傍受が行われることになっております。

 どのような犯罪の捜査を対象に主に通信傍受が認められるかですが、台湾の法務部が2013年の4月1日から9月30日までの統計数字を公表したものによれば、▽薬物事案(61.8%)▽汚職事案(12.38%)▽詐欺事案(7.71%)▽銃砲事案(4.98%)▽組織犯罪事案(4.42%)▽恐喝事案(2.86%)──以上の6種類の事案で94.15%を占めるとされており、薬物事案関連の犯罪捜査のために盗聴などの通信傍受という捜査手法が多く使われていることが分かります。割合的には少ないのかもしれませんが、証券取引法や児童および少年の性取引防止条例などその他の法規に規定される犯罪行為についても通信傍受が可能であるとされています。

 ちなみに日本においては、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律により、対象の犯罪が、数人の共謀によって実行される組織的な殺人、薬物および銃器の不正取引に係る犯罪、集団密航という重大犯罪に限定されていますので、台湾では日本に比べ、非常に幅広い犯罪の捜査に通信傍受という手段を使えることが分かります。

1週間で1万件以上調査

 実際に通信傍受という捜査手段が使われる回数ですが、台湾は非常に多いようです。私が見た記事では、最近でも1週間に平均して1万件を超える通信記録を警察は調査しており、その記事では、この回数はドイツの1年間の通信傍受の回数とそんなに変わらないと書いてありました。日本でも、法務省が13年の状況として国会報告した「傍受の実施をしている間における通話の回数」は2万回弱でしたので、台湾の数字は比べものにならない多さであるといえます。

 犯罪を摘発するためには、通信傍受は有効であり、使って当然の捜査手法であると警察は考えるのでしょうが、ここまで拡大していると、悪用や乱用もされている可能性がありそうで、怖さや危うさを感じるのは私だけでしょうか。 

佐田友浩樹弁護士

佐田友浩樹弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日中英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。