リーガル

記事番号:T00059941
2015年10月22日15:57

 皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の佐田友です。

 双十節のお休みは、特に遠出はせず台北市内にいたのですが、あまり天候に恵まれず、ひんやりとした空気に秋の訪れを感じました。夏が続いている感覚で、短パンに半袖という格好で外出していると風邪をひいてしまうかもしれません。季節の変わり目の時期はくれぐれも体調管理に関しては用心してくださいね~(自戒を込めて書いております)。話は変わりますが、本コラムも100回を数えました。お会いした方から、「読んでますよ~」とありがたいお言葉をいただけるのを糧になんとか続けてくることができました。

 職場の同僚のサポートにも本当に感謝しています。どこまで続くのか、私にも分からないところですが読んでくださる方に少しでも興味を持っていただける内容にしていければと思っておりますので、今後ともよろしくお願いしますね~!!

日本は禁止行為を細かく規定

 台湾においては、貸金業者について定めた法規が存在しないことを先週のコラムで取り上げました。

 日本では貸金業法に「禁止される取り立て行為」に関する詳細な規定があります。具体的には、「貸金業を営む者または貸金業を営む者の貸し付けの契約に基づく債権の取り立てについて貸金業を営む者、その他の者から委託を受けた者は、貸し付けの契約に基づく債権の取り立てをするに当たつて、人を威迫し、または次に掲げる言動その他の人の私生活もしくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない」と規定され、午後9時から午前8時までの間(これは内閣府令に規定されています)に「正当な理由なく債務者等に電話をかけ、もしくはファクシミリ装置を用いて送信し、または債務者等の居宅を訪問すること」や「正当な理由なく債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所に電話をかけ、電報を送達し、もしくはファクシミリ装置を用いて送信し、または債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所を訪問すること」などを禁じています。

 また、日本の貸金業法では、借入残高が年収の3分の1を超える場合、新規の借り入れができないとされていますし(借入時に「年収を証明する書類」が必要)、貸金業者は営業所に法令順守の助言・指導を行う国家資格のある者(貸金業務取扱主任者)を置くことが必要とされ、多重債務者を生みださないような手当がなされているといえます。

反社会勢力が取り立ても

 これに対し、台湾では貸金業者について定めた法規が存在しないことから、早朝に自宅を訪問しての取り立てなどが繰り返し行われたとしても明確に違法であるといえず、お金を借りた者は苛烈な取り立てに耐えるしかないという状況に陥りかねません。

 実際にも、私が同僚に聞いたところによれば、台湾でも多重債務や地下金融(台湾の民法に規定される利率である、年利20%の法定基準以上のお金を貸し出す悪徳業者)は社会問題になっているようですし、日本だと完全に違法とされるような取り立ても、反社会的勢力が実際に行ったりしているようです。台湾には大衆の動向に敏感な政治家が比較的多い印象がありますので、個人債務者を保護するための法整備に障害はないように思われますが、なかなか法整備が進んでいないのが現状のようです。台湾でも日本と同様に、多重債務者を減らし、苛烈な取り立てがなくなるような法整備が一日も早くなされることを願うばかりです。 

佐田友浩樹弁護士

佐田友浩樹弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日中英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。