リーガル

記事番号:T00062162
2016年2月25日15:39

 皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の佐田友です。

 先週末、台北市内の豆漿や蛋餅などが人気のお店に初めて行ってきました。その店は観光ガイドブックにもよく掲載されていて、私が台湾に来て少したった頃にも行こうとしたのですが、あまりにも長い行列で、「並んでまで食べるのもなぁ」と結局、その後ずっと行きそびれていました。今回は、朝が苦手な妻が日本に帰っていたということもあり、朝の5時半という開店直後の時間を狙って1人で行ってみました。すると、その時間でも大行列が2階にある店から外まで続いており、20分ほどは並びましたかね。味はなかなかおいしく、人気が出るのも確かだと思いました。

 妻に報告したところ、行きたがったので次回は一緒に行くつもりですが、起きてくれるかな~。私だけ行って、テイクアウトすることになっちゃうかもしれませんね(笑)。

所有権の行方

 本日は、日本と台湾の不動産所有権の移転時期の違いについて紹介したいと思います。

 まず、日本においては不動産の所有権は、売主と買主の間で対象の不動産を売買しましょうという意思が合致した時点で移転します。根拠条文は民法にあります。具体的には、少し分かりにくいですが「物権の設定および移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる」という条文になります。「物権」とは物を直接支配して利益を受けることができる排他的な権利のことをいい、所有権も民法の中で物権の一つとして明確に規定されています。

 一方の台湾では、不動産物権を売買などの法律行為によって取得する場合は、登記しなければ効力を生じないと民法に明記されています。つまり、台湾では売主、買主が「対象の不動産を売り買いしましょう」として契約を取り交わしたとしても、まだ所有権は移転しておらず、実際に不動産の所有権の移転登記がなされて初めて買主に所有権が移転するんですね~。

 つまり、台湾では日本と異なり、登記が当事者間の所有権の移転のための要件となっているといえます。「あれっ、日本でも不動産の登記ってするよね?」と思われる方もいらっしゃると思います。

 この点、日本の不動産の登記は物権変動の対抗要件とされております(民法に、「不動産に関する物権の得喪および変更は、不動産登記法(平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない」との規定あり)。対抗要件というのは、簡単にいうと、当事者間で効力の生じた法律関係または権利関係を、第三者に対して主張するための要件のことです。

契約しても安心できない?!

 所有権の移転は、当事者間の意思表示のみ(例えば「売り買いしましょう」という意思の合致)によって行われるのですが、売主が同時に別の人Aさんにも対象不動産を売却し、Aさんが先に登記を具備した場合には、最初の買主は自らへの所有権の移転をAさんに対抗できない結果、対象不動産の所有権者はAさんになるというのが日本の法律が採用している処理方法なんですね。

 台湾は、そもそも不動産の所有権移転に登記の具備を求めることで、上記のような二重譲渡が発生しないように手当てしているといえます。

 ということで、台湾で不動産の売買をする場合には、契約しただけで安心しては駄目です。登記まで具備しないと、他の人にも売却されて先に登記されてしまうと所有権を得られなくなっちゃいますからね~。 

佐田友浩樹弁護士

佐田友浩樹弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日中英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。