リーガル

記事番号:T00062271
2016年3月3日15:51

 皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の佐田友です。

 先週末、妻とランチを食べた後、天気も良かったので台北都市交通システム(MRT)の忠孝復興駅辺りから忠孝新生駅辺りまで散歩をしました。忠孝復興駅の近くに、井戸水のくみ上げ設備がモニュメントのように設置されている場所があります。くみ上げ設備は4つあり、うち2つは動かすと水が飛び出してきましたが、実際に飲料用などのために使われているわけではなさそうで、一種のアートスペースなのかもしれません。

 そこから少し移動し、忠孝新生駅に向かう途中で、子どもたちのバレエ教室が外から見学できる場所がありました。子どもたちはかなり本格的に練習していて、ステップを踏みつつ、脚を頭の後ろに上げて両手で抱えるポーズをとったりするのですが、その体の柔らかさにはびっくりしてしまいました。忠孝復興エリアの表通りは人の往来も激しくにぎやかですが、少し駅から離れ、裏通りに入ると昼間でも静かなんですよね。なかなか楽しいお散歩タイムでしたよ~。

 本日は、行政区画について取り上げてみたいと思います。

 日本の行政区画は、都道府県、市町村とすらすら出てくると思います。政令指定都市など扱いが変わる市もありますが、日本ではこんなふうに分けられていますよね。

最小区分「隣」まで法律で規定

 これに対して、台湾における行政区画は省、直轄市、県、市、郷、鎮、県轄市、区、村、里とあって、最も小さな区分として「隣」というものまで法律上、規定されています(地方制度法という法律です)。日本に比べるとたくさんありますよね~。「省」は耳慣れないかもしれませんが、台湾省もまだ存在していると同僚から聞きました(私が台湾省という言葉を意識するのは、バイクのナンバーくらいですが…)。

 上記行政区分のうち、普通に生活していて私にとって身近な存在といえば、なんといっても「里」なんですよね~。どのくらいの人口、面積をカバーしているかは「里」によってまちまちなのでしょうが、私の自宅のある地域の「里」は、数百メートルからせいぜい1キロメートルくらいの範囲でカバーされるエリアにとどまっていると思います。この「里」と「村」は同じレベルの行政区画とされていますが、合わせてどのくらいの数があると思いますか。

 なかなか推測するのは難しいと思いますが、台湾全土で7,851あるようです(2014年当時のデータです)。「里」と「村」はそれぞれ長が選挙で4年に1度選ばれるとされ、14年の選挙の際に、県と市選挙において村長、里長合計3,600人が選出され、直轄市の選挙では里長4,251人が選出されたそうです(中央選挙委員会のデータより)。

村長・里長は地域に不可欠

 この「里」と「村」は長がいるものの、議会などはないわけで、私は勝手に日本の町内会長のようなイメージを持っています。実際に、原則、無給であるということが地方制度法に規定されています(地域によって月に4万~5万台湾元の事務費はあるようです)。また、里長をするような人は地元に根ざし、商売を営んでいる人が多いらしいです。

 ただ里長は、地域の顔役みたいな単なる名誉職にとどまるわけではなく、実際に地域で起こるさまざまな問題を解決するに当たって非常に頼りにされている存在のようです。私が見たネットの記事においても、「台湾社会において、各社区は村長や里長に非常に頼っているのは争いのない事実であり、このため、選挙制度がどのように変わったとしても、村長や里長の選挙が廃止されることはないだろう」とコメントしてありました。ちなみに「社区」は法律用語でもなければ、特に明確な定義があるわけでもない言葉のようで、地縁で結び付いた住民コミュニティーを指すようです。台湾社会は村長や里長が縁の下の力持ちとして支えているといえるかもしれませんね~。

佐田友浩樹弁護士

佐田友浩樹弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日中英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。