リーガル

記事番号:T00063411
2016年4月7日16:12

 皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の佐田友です。

 最近、初めて知ってびっくりしたことがあります。「例えば4月の第2木曜日にどこそこで集まりましょう」と約束した場合、台湾と日本で異なる日を認識してしまうことがあるって知っておられましたか?日本人の一般的な感覚では、その月の2回目の木曜日、つまり今年でいえば、4月14日を指しますよね。ところが、台湾人の方に聞くと第2木曜日は、月の2週目の木曜日ということで4月7日を指すそうです。習慣の違いとはいえ、よくよく確認しないと全く違った日に会う約束をしてしまうことになりかねませんね(笑)。

「500元以上、2万元以下」

 今週は先週に引き続き、個人情報の保護に関連する内容を取り上げます。

 実際に個人情報が漏えいされてしまったとして、その情報を提供した個人はどの程度の損害賠償を受け取れるか、皆さん、ご存知でしょうか。

 この点、日本も台湾も損害賠償責任を追及する個人の側が、自身に発生した損害がどの程度であったかの立証責任を原則として負うのは同じなのですが、例えば「住所、氏名、電話番号、電子メールアドレス等」の情報が漏えいされてしまったとして、それが実際に「いくらの損害が発生したといえるのか」、なかなか明確にはできませんよね。

 そこで、台湾の「個人情報保護法」においては、「被害者がその実際の損害額の証明が困難または不可能である場合」に、裁判所が、どの程度の金額の損害賠償を認めるのが適切かの一定の基準を示しています。具体的には、「裁判所に侵害の状況に基づき1人当たり1件につき500台湾元以上、2万台湾元以下で計算するよう請求することができる」とされています。

 このような基準について、日本の「個人情報の保護に関する法律」には特に規定がありませんので、台湾の方が結果に対する予測がしやすいといえますね~。

 もっとも、日本の裁判例で損害の立証が認められにくいかというとそうでもないようで、私が調べた範囲では、おおむね1人当たり数千円から数万円程度の損害賠償が認められていました。また、日本では、裁判にならなくても、個人情報を漏えいしてしまった企業の側が自主的に1人当たり500円から1万円くらいの商品券などを配ったりするということもよく行われているようです。

漏えいリスクに注意を

 1件ごとの賠償額は少額でも、漏えいした個人情報の量が多い場合、合計すると非常に大きな金額の損害を企業が負う例も過去にあったようです(総額5億円に上るようなケースもあったらしいです)。このような個人情報の漏えいは企業側で気を付けていても、情報に接することのできる立場の人間が私欲にかられ、情報を売却してしまうという行為まで完全に防ぎにくいと考えられるところ、このような個人情報漏えいによる損害賠償責任負担をカバーする保険が日本には存在すると聞いたことがあります。本当にいろいろなものが保険でカバーされる時代ですよね。

 ちなみに、台湾で個人情報漏えいにより、企業1社が多額の賠償負担を負った例があるか、同僚に聞いてみましたが、大きなニュースになっているものはなさそうです(ある著名書店の事案で、賠償総額が十数万台湾元程度というものがあったとのこと。被害者1人当たりの金額は、3,000元弱~1万7,000元程度でした)。

 個人情報の活用は企業にとって有意義であるのは間違いないと思いますが、漏えいリスクについても注意してくださいね~。

佐田友浩樹弁護士

佐田友浩樹弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日中英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。