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記事番号:T00064421
2016年5月30日15:54

 台湾において、相続税および贈与税の税率は、「遺産及贈与税法」(遺産および贈与税法)により規定されている。

 相続税の税率は、遺産総額の多寡にかかわらず、一律10%の税率とされ、贈与税も贈与総額の多寡にかかわらず、一律10%の税率とされている。

 ただし、遺産総額が1,200万台湾元未満の場合、相続税は免除され、また、贈与総額が220万元未満の場合、贈与税は免除される。なお、相続税または贈与税の税額を算定する際には、遺産総額または贈与総額から上記の法定の免除額と控除額を差し引いて算定される。

 納税義務者が納付すべき相続税または贈与税が30万台湾元以上であり、かつ納付すべき相続税または贈与税を現金で一括納付することが困難である場合、納税通知書が送達された2カ月以内に、18期に分割して納付することを申請できる。ただし、各期の間隔は2カ月を超えてはならないとされている。よって、納税義務者は最長3年間にわたって相続税および贈与税を分割納付することが可能である。

 納税義務者が申告すべき遺産または贈与財産を申告しなかった場合、または実際の額以下を申告した場合、税務当局は納付すべき額の2倍以下の過料を課することができると規定されている。

富の再分配

 なお、相続税の目的は、富の過度集中を抑止し、富を再分配することにあると考えられる。また、贈与税は、生前贈与による相続税回避を防止する機能を有するので、相続税の補完的な性質を持つと考えられる。それ故、金額の多寡に関係なく同一の税率を適用する、現行の制度は高額所得者に有利な制度であり、相続税および贈与税の目的に合わないと批判されている。

 これに対し、財政部は、台湾の資産家は、資金を海外に移動させるなどのさまざまな手法により相続税を回避しているため、この批判は当たらないとしている。また、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、スウェーデン、香港、シンガポールなど、相続税を廃止した国は多いため、台湾においても相続税の税率を下げなければ国民の資金が海外に流出することは避けられないとしている。

尾上由紀弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

早稲田大学法学部卒業。 2007年黒田法律事務所に入所後、企業買収、資本・業務提携に関する業務、海外取引に関する業務、労務等の一般企業法務を中心として、幅広い案件を手掛ける。主な取扱案件には、海外メーカーによる日本メーカーの買収案件、日本の情報通信会社による海外の情報通信会社への投資案件、国内企業の買収案件等がある。台湾案件についても多くの実務経験を持ち、日本企業と台湾企業間の買収、資本・業務提携等の案件で、日本企業のアドバイザー、代理人として携わった。クライアントへ最良のサービスを提供するため、これらの業務だけでなく他の分野の業務にも積極的に取り組むべく、日々研鑽を積んでいる。