リーガル

記事番号:T00064664
2016年6月13日15:40

 2015年7月1日に会社法235条の条文が改正され、また第235条の1が追加された。これにより、会社は1事業年度の収益に対して一定の金額または割合で、従業員に報酬を配当する旨を定款において規定することが定められた。なお、報酬は株式、新株の発行または現金により支給でき、従業員が企業の経済成長の成果を実際に享受できるとされている。

従業員の報酬優先

 詳細は次の通りである。旧会社法第235条の利益配当の規定は、株主、従業員、および取締役・監査役に報酬を配当するというものであったが、新しく追加された会社法第235条の1では、会社定款において、1事業年度の収益に対して一定の金額または割合で従業員に報酬を配当する旨を定めることが要求されている。つまり、企業に収益があったときは、まず従業員に報酬を配当し、次に営利事業所得税を納付することになる。

 すなわち従業員に対する配当の費用化により、会社の収益配当の順番が変更され、元の「利益の配当」の精神が「賃金の配当」の精神へと変更された結果、従業員が優先された。新しく追加された会社法第235条の1の適用対象には、全てのタイプの会社が含まれる。

 なお、今回の改正に関し、経済部商業司は、会社定款において、年度利益に対する一定額または割合を株式または現金の方法により従業員に対する報酬と定めなければならないが、累積欠損がある場合は先に補塡(ほてん)しなければならないと指摘している。また、報酬の支給については、取締役会における取締役の3分の2以上の出席、過半数の同意をもって決議し、かつ株主総会に報告しなければならないとしている。

定款修正は6月末までに

 以上の法律改正には猶予期間がないため、15年度の従業員に対する報酬および株主に対する剰余金の配当手続きのために、今年(16年)6月末までに、株主総会において定款修正を完了し、従業員に対する剰余金の配当規定を追加修正する必要がある。

 経済部商業司は、従業員へ支給する報酬は会社の費用に該当することから、会社が新法に基づいて定款を修正しない場合、従業員は報酬の配当を獲得できず、会社は正確な剰余金を算出できなくなるため、会社も株主だけに剰余金の配当を行うことはできないと説明している。

 なお、改正後の会社法第235条では、従業員に対する特別配当の規定も削除されたため、会社の旧定款に基づいて従業員に対する特別配当を行うことも許されなくなった。

尾上由紀弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

早稲田大学法学部卒業。 2007年黒田法律事務所に入所後、企業買収、資本・業務提携に関する業務、海外取引に関する業務、労務等の一般企業法務を中心として、幅広い案件を手掛ける。主な取扱案件には、海外メーカーによる日本メーカーの買収案件、日本の情報通信会社による海外の情報通信会社への投資案件、国内企業の買収案件等がある。台湾案件についても多くの実務経験を持ち、日本企業と台湾企業間の買収、資本・業務提携等の案件で、日本企業のアドバイザー、代理人として携わった。クライアントへ最良のサービスを提供するため、これらの業務だけでなく他の分野の業務にも積極的に取り組むべく、日々研鑽を積んでいる。