リーガル

記事番号:T00082511
2019年3月18日15:50

 台湾法上の労災(労働災害)の定義について、「職業安全衛生法」第2条第5号には「労働災害とは、労働場所の建築物、機械、設備、原料、材料、化学物、気体、蒸気、粉塵(ふんじん)などまたは作業活動およびその他の職業上の原因に起因する労働者の疾病、負傷、能力喪失または死亡を指す」と規定されています。

労災の三分類

 この定義に基づけば、労働災害は基本的に以下の三種に分類することができます。

第一種「労働場所の建築物、機械、設備など」に起因する疾病、負傷または死亡

 通常、「労働場所」とは、労働者が業務を行う作業現場および労働者のために業務上、設置する必要がある場所(例、工場内のトイレ)を指します。

第二種「作業活動」に起因するもの

 例えば、物品の運搬、機械の操作、施工などの原因に起因する事故または災害(例、不注意で、倒れた物品に圧迫されたことによる負傷)。

第三種「その他の職業上の原因」に起因するもの

 例えば、労働者が通勤途中に交通事故に遭った場合や、業務上の出張時、会社の行うイベントに参加したときの事故に遭った場合が該当します。

労働部の解釈

 労働災害に該当するか否かについて疑義が生じた場合、労働部に解釈を求めることができます。

 例えば、労働者が就業時間に職務を執行しているときに同僚と争いになり殴られて負傷した場合に労働災害に該当するか否かについて、行政院労働者委員会(制度改正前の労働部)は1996年1月13日に台85労安3字第147416号書簡をもって「労働者が就業時間に同僚と争いになり殴られて負傷した場合、当該負傷が確かに労働者の職務執行に起因するものであり、かつ故意の犯罪行為が存在せず、殴られたことによるものである場合、労働災害に該当するはずである」と表明しています。

 また、労働者が勤務期間にかかった疾病が労働災害に該当するかについては通常、医師の鑑定結果を根拠としなければならず、労働部が直接認定することはしません。

 例えば、労働者が労働時に脳幹出血になった場合に労働災害に該当するか否かについて、行政院労働者委員会は99年11月19日に台88労安3字第0049502号書簡をもって「労働者が労働時に脳幹出血になった場合に労働災害に該当するか否かの疑義については、職業上の原因に起因するか否かに関する医師の判断を踏まえた上で判断しなければならない」と表明しています。

 労働災害が生じた際、労使間の紛争が起こる場合が多いため、紛争拡大などを防ぐ観点から、労働法および交渉テクニックに習熟した法律の専門家に前もって相談すべきです。

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

蘇逸修弁護士

蘇逸修弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、法務部調査局に入局。板橋地方検察署で、検事として犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などの業務を歴任。2011年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。