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記事番号:T00082980
2019年4月15日15:54

 最近、日本でも「PayPay」「LINE Pay」などのQRコード決済が普及してきていますが、これらは電子決済の一種類です。台湾の電子決済に関する規制はどのようになっているのでしょうか。

金券条例と決済条例

 2009年、交通系電子マネーを管理することを目的に「電子金券発行管理条例」(以下「金券条例」)が施行されました。その後、交通系電子マネーが交通機関以外の決済にも使えるようになり、金券条例ではカバーできなくなったため、15年に「電子決済機関管理条例」(以下「決済条例」)が制定されました。現時点で、台湾の電子決済に関する規制は主に「金券条例」と「決済条例」で、主務官庁は金融監督管理委員会(以下「金管会」)です。

電子決済に関する定義

 決済条例により、電子決済業者とは、ネットワークまたはプラットフォームを介して、ユーザーの登録、ならびに資金の移動、およびチャージ状況を記録する口座の開設を受け入れ、かつ電子デバイスを利用してオンラインで入出金情報を伝送し、支払人と受取人の間に立ち、「実際の取引金員の受け取り・支払い代行」、「チャージ金員の収受」または「電子決済口座間の金員の移動」という業務を経営する者と定義付けられました。電子決済業の経営には金管会の許可が必要で、許可なく電子決済業を経営した場合には、3年以上10年以下の有期懲役、2,000万台湾元(約7,300万円)以上5億元以下の罰金を併科できるという厳しい刑事罰が科される可能性があります。

電子決済であるか否かの判別

 電子決済業者の定義にはいくつかの例外があります。例えば、「実際の取引金員の受け取り・支払い代行」のみを経営し、かつ保管金額が10億元以下の場合には、決済条例は適用されず、経済部により「第三者決済」として規定され、また、単一用途(例えば、自社のECサイトでのみ使用可能)の決済しかできない場合は電子ギフト券に該当し、決済条例ではなく、当該事業の主務官庁により消費者保護法が適用されるという実務上の見解が存在します。

 台湾で、電子決済の定義に近接した事業を行いたい場合、関連刑事罰が厳しいため、必ず事前に現地の弁護士に相談することをお勧めします。

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

鄭惟駿弁護士

鄭惟駿弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。