リーガル

記事番号:T00083730
2019年5月27日15:52

 ホテルで使用された未洗濯のシーツ、バスタオルなどを、信用調査会社が調査対象案件の証拠としてホテル業者に対し購入を申し出ましたが、これに応じたホテル業者は、シーツなどに付着した毛髪、唾液などは個人を識別できる情報で、プライバシーを侵害されたとして、調査対象者から損害賠償請求の民事訴訟を提起されました(高雄地方法院民事判決2018年度消字第5号)。

 一審の高雄地方法院(裁判所)は、調査対象となった原告のプライバシーが侵害されたとして、被告のホテル業者に対し、8万台湾元(約28万円)を賠償するよう命じました。本件は現在も二審で係争中です。

正当な収集目的が必要

 高雄地裁は、個人資料保護法(個人情報保護法)第2条第1号と第5条を引用して、「個人情報とは、自然人の氏名、生年月日、国民身分証の統一番号、パスポート番号、特徴、指紋、婚姻、家族、教育、職業、病歴、医療、遺伝子、性生活、健康診断、犯罪記録、連絡先、財務状況、社会活動およびその他直接または間接的な方法により当該個人を識別することができる情報であり、その収集、処理または利用は、当事者の権益を尊重し、信義誠実の原則に基づく方法で行われ、特定の目的のための必要な範囲を超えてはならず、収集の目的との正当かつ合理的な関連がなければならない」と指摘しました。

社会通念上、不当な利用

 さらに高雄地裁は判決で、「ホテルの利用客が既に部屋を離れた後でも、現場に残された使用済みの身に付ける備品やごみには、通常、遺伝子を含む毛髪、体液などの生物由来の遺留物が付着しており、これはプライバシーにより保護される個人情報である。一般の利用客は社会通念上、ホテルがこれら備品やごみを正当な方法で洗浄や廃棄するという合理的な期待を持っており、ホテルはそれ以外の不当な処理や利用をしてはならない」という判断を示しました。

 社会が進歩するに伴い、プライバシー権の範囲はますます拡大しています。プライバシーが侵害された場合、たとえ財産上の損害はなくても、民法第195条第1項前段の損害賠償請求規定に基づき、相応の金額の賠償を請求できる可能性があります。

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

鄭惟駿弁護士

鄭惟駿弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。