リーガル

記事番号:T00085119
2019年8月12日15:40

 自社の著作権、商標権などの知的財産権が侵害されていることを理由として、警告書を侵害者以外の第三者に送付できるかについて、「著作権、商標権または特許権の侵害に関する事業者による警告書送付事案についての公平交易委員会(公平会、公正取引委員会に相当)の処理原則(以下「本処理原則」)」に以下のように規定されている。

先行手続きが必要

1.第二条

 本処理原則にいう事業者の警告書送付行為とは、事業者が次の方法により、自らのまたは他の事業者の取引先または潜在的な取引先に対し、その所有する著作権、商標権または特許権を他の事業者が侵害していることを知らしめる行為を指す。

(一)警告書

(二)通知書

(三)弁護士書簡

(四)公開書簡

(五)広告での公示

(六)その他、自らのまたは他の事業者の取引先または潜在的な取引先に対して知らしめるに足る書面

2.第三条第一項

 事業者が次の権利侵害確認手続きの一を履行した上で警告書を送付した場合、著作権法、商標法または特許法に基づく権利行使のための正当行為とする。

(一)裁判所の一審判決により、確かに著作権、商標権または特許権が侵害されているとされた場合

(二)著作権審議および調停委員会の調停により、確かに著作権が侵害されていると認定された場合

(三)特許権侵害の可能性のある目的物を専門機関に送付して鑑定を依頼し、鑑定報告書を取得し、かつ侵害の可能性のある製造業者、輸入業者または代理店に対し、警告書の送付前または送付と同時に、侵害の排除を請求する通知を行っている場合

3.第四条第一項

 事業者が次の各号の権利侵害確認手続きを履行した上で警告書を送付した場合、著作権法、商標法または特許法に基づく権利行使のための正当行為とする。

(一)侵害の可能性のある製造業者、輸入業者または代理店に対し、警告書の送付前または送付と同時に、侵害の排除を請求する通知を行っている場合

(二)警告書において、著作権、商標権または特許権の明確な内容、範囲、および侵害されているとの具体的な事実(例えば、係争権利につき、いつ、どこで、どのように製造、使用、販売または輸入が行われたかなど)を明確に述べることにより、受信者に対して係争権利が侵害されている恐れがあるとの事実を知らしめるに足りる場合

4.第五条第一項

 事業者が第三条または第四条に定める先行手続きを履行せずに警告書を送付し、かつ取引秩序に影響を及ぼすに足りる欺罔(ぎもう)または明らかに公正さに欠ける行為をなした場合、公平交易法第25条の違反を構成する。

 会社の著作権、商標権などの知的財産権が侵害されている場合、自社の取引先などの第三者に対して、自社の被害事実および加害者の社名などを知らせるレターを出す行為はよく見受けられる。しかし、本処理原則の第三条または第四条の先行手続きを履行せずにレターを送付すると、台湾法に違反する可能性が高く、注意が必要である。

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

蘇逸修弁護士

蘇逸修弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、法務部調査局に入局。板橋地方検察署で、検事として犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などの業務を歴任。2011年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。