医療用超音波診断装置ー世界市場の動向から台湾の発展状況を見る


リサーチ 経営 台湾事情 その他 2013年7月8日

ヘルス&ビューティ業界

医療用超音波診断装置ー世界市場の動向から台湾の発展状況を見る

記事番号:T00044600

  医療用超音波診断装置は第二次世界大戦後の1950年代末に発明されて以来、医用画像処理装置の市場を席巻している。すでに医療用超音波診断装置は独特なイメージング技術となっており、他の医用画像処理装置より格安な価格、優れたコストパフォーマンス・スピード力・正確性、また安全で早い画像提示などの特徴があるため、画像処理設備の競争が激しい市場で、欠かせないひとつの装置となった。

 台湾医療業界の市場規模が小さいため、台湾の医療用品メーカーは安価な医療消耗品に多くの力を注ぎ、また部品単位で海外へ輸出するなど、輸出志向の傾向がある。超音波方面の発展について、超音波画像のフロントエンドに関するコア技術は数少ないメーカーに握られているため、台湾メーカーは部品の開発を切り口としてきた。もしこれから部品の開発を起点にして、バックエンドシステムの統合やソフト分析のパワーなど台湾メーカーの持つ力量と結び付け、さらにひとつの完成型システムとして立ち上げれば、台湾メーカーにとっては、医療用超音波診断装置の国際市場へ進出する武器になる。

 

世界市場の概況

 Global Industry Analysisのデータによると、2011年の全世界の医療用超音波診断装置の市場規模は45.6億米ドルに上る。最大市場はアメリカで、次いでヨーロッパとアジア太平洋地域であり、それぞれが世界市場で32.1%、22.8%、22.4%のシェアを占めている(図一参照)。2009年の世界的な景気後退で超音波診断装置の市場規模は縮小したが、新興国においては依然力強い伸びを記録した。2010年、中国では深化医改(医療制度改革)や十二五計画(第12次五カ年計画)など、医療機器の国内需要を拡大する政策の影響を受け、医療用超音波診断装置が最も急成長し、中でもカラー超音波診断装置が最大需要製品となった。世界の大手医療機器メーカーは、次々と中国に生産拠点を設置しており、R&Dセンター規模にまで至っている。生産コストも製品価格もある程度削減できており、市場により多くの可能性をもたらした。世界市場の推定規模は2017年に69億米ドルになり、2009年~2017年での複合年平均成長率は約5.8%であるという。特にアジア太平洋地域は2009年~2017年、世界超音波診断装置の複合年平均成長率は9.4%に達すると考えられている。

医療用超音波診断装置の世界大手メーカーとその分野

 Global Industry Analysis(2011)での医療用超音波診断装置の世界市場規模分析によると、超音波診断装置市場において最大シェアを持つのはGE Healthcare(GEヘルスケア)であり、2010年世界市場で21.32%を占めた。その次はPhilips Healthcare(フィリップスヘルスケア)、Toshiba(東芝)、Siemens Healthcare( シーメンスヘルスケア)の3社であり、それぞれ2010年の世界市場で23.6%、13.8%、11.8%のシェアを占めた。医療用超音波診断装置が最も使われている3分野である放射線科、心臓科、産婦人科のシェアについて、フィリップスヘルスケアは心臓学科と放射学科で49.9%と29%のシェアを、GEヘルスケアは産婦人科で29.9%のシェアを持ち、それぞれの分野では最大のマーケットシェアとなっている。

 

医療用超音波診断装置のクラスと機能

 技術仕様によって医療用超音波診断装置は下記のように大きく4種類に分けられる(図二)。32ch(channel)以下の基礎タイプ、48~96chの中級タイプ、128ch以上の高級タイプ、全機能持っている最高級タイプ。製品のクラスによって機能も異なり、ハイクラスほど機能が備わっている。市場価額から見れば、モノクロの画像のみ提示可能な基礎タイプは50,000米ドル以下、カラードップラーミドルや組織ハーモニックイメージングのある中級型は50,000~100,000米ドル、3D/4D機能がある高級タイプは100,000~160,000米ドル、定量的画像解析や弾性画像解析など全機能を持っている最高級タイプは、臨床研究や診断目的として、医療センターや研究センターに購入されており、価格は160,000米ドル以上だ。上記にある超音波診断装置の中では、機能のシンプルさと操作の便利さを備える中低級タイプが最も主力であり、すべての超音波装置市場において40%を上回るシェアを持つ。台湾メーカーが超音波診断装置市場への進出を目指すならば、ここが良い参入の切り口となる。

 

台湾メーカーの参入状況

 既に医療用超音波診断装置業界に参入している台湾企業はChang Gung Medical Technology (長庚医材)と Qisda(佳世達)などのマルチベンダーであり、コンポーネントの開発および広告を扱うBroadsound(声博)は、全製品がアメリカ食品医薬品局の認可(FDA510K)を取得している。 Chang Gung Medical Technology はユーザーインターフェイスの開発・バックエンド使用者の経験と需要・システムの統合・販売経路などの長所を持っている。そしてQisdaは超音波画像のバックエンドの統合能力を持ち、今BenQマーケティングチームの力を借りて世界で市場を広げる意向だ。超音波互換代替プローブを開発している声博は、プローブの製作・販売およびフロントエンドの超音波画像ビームフォーミング(beamforming)のコア技術を所有しているため、全世界に200個の代理拠点を設置し、安全・良質・合理的な価格で自社の超音波互換代替プローブを販売している。

 

結論

 今後、一般的な臨床診断画像を提示することに加えて、医療用超音波診断装置は臨床応用の範囲を広げ、治療への応用も徐々に開発されている。ナビゲーションシステムと共に薬を特定器官に運ぶことや、超音波エネルギーを利用して細胞膜を開け、薬を癌細胞に導入することなど、すべては新応用分野であり、分野を越えた協力が可能な新時代へとつながる。

 超音波診断装置のコア技術は少数の大手メーカーに握られているため、台湾の医療用超音波マルチベンダーは海外メーカーから部品を購入し、台湾で組み立てている。同じ台湾メーカーであるBroadsoundは既に超音波プローブの開発、製作、生産、宣伝実績を持っているが、超音波部品に限られており、完成型システムにおいてはまだ海外メーカーと差がある。今後は、コア技術の持続的開発に重点を置いて、また他の部品ベンダーかシステムメーカーと提携協力して完成型システムの開発を進め、臨床応用の動向と需要を追い続け、自分のポジションと方向性を定めれば、研究成果を出した後に順調に市場へ進出できるだろう。

 

出典:工研院産経中心(2013年3月)

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