異業種提携で 距離ゼロの医療ケアを


リサーチ 経営 台湾事情 その他 作成日:2013年7月8日

ヘルス&ビューティ業界

異業種提携で 距離ゼロの医療ケアを

記事番号:T00044601

 医療機器、インターネット通信、セキュリティサービスなど異業種提携によって実現した遠隔医療ケアサービスは、個人のニーズに対応するユビキタス時代の医療ケアシステムである。このサービスにより僻地に住む高齢者や慢性疾患患者に対する医療水準を向上させることが可能となった。

 ヘルスケア産業に参入している台湾企業は少なくない。従来の医療関連企業だけではなく、鴻海(フォックスコン)、台達電(デルタエレクトロニクス)、明碁(BenQ)などのICTベンダーも医療電子分野への投資を進め、戦略的提携によって市場進出を果たしている。

 血糖値測定器メーカー大手である五鼎生技(Apexbio)とディスプレイOEMの佳士達(Qisda)は遠伝電信(Far Eastone)と連携して、 糖尿病患者が測定データをいつでもアップロードできる「クラウドヘルスケアプラットフォームサービス」を開発した。2012年には蓋徳科技(Guidertech)が自社開発の「マルチメディアヘルスウオッチ」を発売。クラウド技術を駆使して「家族の心も幸せな空間」を目指すなど、異業種の市場参入が進んでいる。

 

源星生医の心筋梗塞警告システム

 高齢化社会の進行と慢性疾患患者の在宅ケアの需要が拡大する中、源星生医(Ostar Meditech)はクラウドを利用した「OSTAR心臓スペクトル監視システム」を開発した。このシステムを利用すれば患者と病院は心血管の状態を正確に把握できる上に、心筋梗塞の早期警告も可能となる。同社開発の医療サービス「テレケア」は、毎日自宅で測定した心拍データをアップロードし、そのデータを遠距離にある総合病院に送ると血圧などの異常を発見できる仕組みになっている。心臓疾患患者は自宅にいながら健康状態のセルフチェックができるのだ。また心臓スペクトルクラウドモニターシステム「OSTAR iCloud」は、心臓スペクトル解析技術、自動検証並びに校正発明技術という二つの特許技術を使用しており、アメリカ食品医薬品局(FDA)のほか多くの国際特許を取得しいる。

 心臓スペクトル解析技術とは、腕を経由して心臓拍動の波形を分析する特許技術で、米国、ドイツ、台湾などの発明特許を取得している。この技術は心雑音を検出して心臓疾患や心筋梗塞発生の危険を警告することができるため、患者は早期に医師へ相談することが可能となるのだ。また自動検証並びに校正発明技術によって血圧測定値の精度を保ち、医師の正確な判断をサポートすることができる。現在、この製品は台湾大学病院、振興医院、台北医学大学病院、台北市聯合医院、高雄医学大学付属病院、義大医院などの大病院で使用されている。また中国の東軟グループとの提携協力も開始しており、中国における遠隔医療ケア市場を開拓していくことになるだろう。

 

泰博科技 iPhoneで血糖値を管理

 1998年に設立された泰博科技(TaiDoc)は、血糖値測定器や測定キット、血糖値血圧測定器などが主要製品である。

 泰博科技は設立初期、在宅医療機器分野でIC開発からマーケティングまでを行っていた。2004年、血糖値と血圧が一台で計測できる測定器がFDAの製品ライセンスを取得。さらに米国の医療機器ブランド「FORA」と提携して血糖値と血圧の慢性疾患を抱える患者のケアを推進している。2008年には、日本と米国、中国、欧州に子会社を設立。遠隔医療関連の計測機器とシステム開発を推進、数多くの遠隔医療ケアプロジェクトに参画している。最近ではForaCare Suisse AG社と設計提携した「フォラケア音声認識型 血糖値血圧測定器(FORA D40 Blood Glucose and Blood Pressure Monitor)」がコンティニュア・ヘルス・アライアンスの認証を取得した。台湾メーカーが開発した血糖値血圧測定器の中で、コンティニュアが定めた遠隔転送の高品質規格をクリアした最初の製品である。

 高齢化社会の到来と家庭医療ケアの普及により、長期にわたる医療ケアの需要がますます高まっている。泰博科技は中華電信との技術提携し「遠隔健康管理サービス」を開始した。これはモバイル通信と電子医療機器を組み合わせた医療サービスである。定期健診を必要とする糖尿病患者や高血圧患者は、このヘルスケアサービスを利用すれば血糖値と血圧データを自宅で容易に管理することができる。

 最近、泰博科技は彰化基督教医院の糖尿病デジタル医院と連携し、「iPhone血糖値測定遠隔ケアプロジェクト」を開始した。プロジェクトに参加した患者はiPhoneに「フォルiDiamond血糖値測定器」をつなげれば毎日自宅で血糖値を測定できる。そして血糖値管理アプリの「iFORA」で血糖値ダイアリーや血糖値グラフを記録し、治療の経過を把握することができる。またiPhoneに保存した血糖値データを病院の遠隔ケアクラウドサービスへ転送することも可能だ。

 

佳世達と五鼎が連携 遠隔ケア市場へ進出

 台湾は高齢化のスピードは日本と並んで世界で最も速く、経済建設委員会によると2025年には高齢者の割合が全体の20%に達するとみられている。液晶ディスプレイのOEMメーカーである佳世達(Qisda)は、2009年から遠隔健康管理システム市場に進出、データ転送機器「Gateway」を開発した。自宅など病院以外の場所で医療を受ける患者と病院を結ぶこの機器は、すでに数多くの大病院で採用されている。「Gateway」は在宅医療ケアを受ける患者のために開発された通信装置である。患者と介護者、病院とケアセンターをインタラクティブにつなぐケアツールである。

 高齢者の使用も考慮されており、自動アラームや定時測定の機能に加えて、血圧や血糖値、血酸素濃度、心電計などの機器とも接続できる。測定したデータをケアセンターに転送し、介護者に健康状態を知らせることができる。さらにインタラクティブ通信機能を利用すれば、医療機関は患者の要望に応じて健康相談のほか、緊急救護や家族への連絡も行うことができる。

 一方、大手血糖計メーカーの五鼎生技と遠伝電信(Far Eastone)は、糖尿病患者向け血糖値測定サービスの「クラウド健康管理プラットフォームサービス」 を提供している。このサービスを利用すれば患者はいつでも血糖値の測定ができ、そのデータを病院や個人のデータベースまで転送することもできる。

 このサービスによって糖尿病患者は測定データの長期的記録・保護ができる上に、病院側も患者の治療経過を長期的観察することができ、患者の健康状態を十分に把握することができる。

 

台大病院とクアンタ 医療R&Dセンター設立

 国立台湾大学病院はクアンタ・コンピュータ(廣達電脳)と連携し、医療機器のR&Dセンターを設立した。遠距離にいる患者のリアルタイム診察を可能にすることを目指し、心血管科の専門医師とクアンタによる開発チームが医療技術と情報通信技術を統合、研究開発を進めている。実現すれば患者は診察のために病院まで出向く必要がなくなり、医療資源の大幅な節約も可能となる。

 このR&Dセンターでは現在、医療スタッフが患者の身体情報を迅速に判断できる信号処理、身体情報をいつでも測定できるクラウド技術、バイオセンサーと集積回路を統合したマイクロチップ、超低消費電力型及びバッテリーフリーのバイオセンサー集積回路、臨床医学における遠隔医療ケア機器およびシステム研究と活用技術などの研究開発を行っている。

 身体に装着したセンサーによって測定された身体情報が携帯電話を通じてクラウドに転送され、医療チームは患者をリアルタイムで観察、診断することができる。これにより患者中心の医療環境が確立され、患者は自宅から病院まで足を運ぶ必要がなくなる。実現すれば医療資源が節約できる上に患者の生活品質向上の一助にもなるだろう。

 

蓋徳科技 ヘルスウオッチで「心も幸せな空間を」

 台湾の「超高齢化社会」を新たな商機とみた蓋徳科技(Guidertech)は2012年、高齢者のニーズに応える「シニアセーフティーエンジェルケア携帯電話腕時計」を開発した。また雄獅旅行社と連携して“旧友と行く旅”、“愛・バリアフリー”などのテーマを掲げたツアーを実施、高齢者にも安心な旅行サービスを提供している。

 蓋徳科技は「マルチメディアヘルスウオッチ」や「ペットカーロケーター」などの高齢化、少子化社会向けの自社開発製品を開発している。家庭を起点とした「家族の心も幸せな空間を作る」ことを目標に掲げている。「シルバークラウド・ケア・アライアンス」の一員でもある同社の「シニアセーフティーエンジェルケア携帯電話腕時計」は、クラウド技術を駆使し緊急通話、GPS機能、生活サポート、データ測定などの機能を搭載した製品だ。家族はいつでも家にいる高齢者の状況が把握できる。雄獅旅行社の高齢者向けツアーはこの同社の「エンジェルケア携帯電話腕時計」と提携している。また、車椅子専用の送迎サービスや医療従事者も全行程同行など、高齢者も安心して楽しめるツアーを提供している。

 このほか蓋徳科技は、多忙な生活を送る30~60歳のサラリーマンやOL向けに「マルチメディアヘルスウオッチ」を開発した。高級腕時計のようなスリムな外観にブルートゥースとスマートフォンの通信機能、データ転送、歩数計、カロリーカウンターなどの機能を搭載している。いつでもどこでも健康チェックができるクラウドサービスである。

 2007年に設立された同社は「クラウドから思いやりを どこでも医療ケアを」をスローガンに、IT技術とクラウドを駆使して本当の価値ある幸福と家族の健康を守る医療ケアサービスを提供することを目指している。

 

出典:MDNews マガジン165(2013年4月)

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