記事番号:T00003344
苦労が報われ、起業したビジネスがうまくいき始める…
そうして資金がたまり始める…
その時、あなたが経営者ならどうしますか?
1)リスクを背負って努力したのだから」と高い報酬を得るのもありでしょう。
2)「頑張ってきた社員のために」と福利厚生を充実させるのもありでしょう。
3)不動産に投資し不労所得を狙う」というのもありでしょう。
4)「新規事業に投資し、多角化を狙う」というのもありでしょう。
…でも残念ながら、もうちょっと、それらはお預けです。
ここで、先述の手段を選択する起業家は、継続した成長は望めません。
もうかるようになった今こそ、本業が新規参入者に脅かされないように「参入障壁」を築いておく必要があるのです。
例えば、台北では10年程前まで日系企業向けの「人材紹介業」「不動産仲介業」などの「企業向けサービス業」は一部の企業が市場を独占し、少なからぬ利益を得ていました。
しかし先行企業が参入障壁を築き上げるのを怠ったため、現在は大小多くの企業が参入する「過当競争業界」になっています。
なぜ、本業のもうけを参入障壁づくりに投資しなかったのでしょう?
人材紹介業なら、思いつくだけでも以下のような参入障壁が考えられます。
1)価格を下げてボリュームを増やし、ボリュームの少ない新規参入者ではビジネスが成り立たない市場にする。
2)労務コンサルティングビジネスに参入し、人事労務関連についてはワンストップでサービスを提供できるようにする。
3)社会人スキルアップ教育ビジネスに参入し、企業側が求めるスペックの人材に有料で教育し紹介するビジネスモデルにする。
など、など…
●「商売」と「経営」の違い
「もうかる」というのは「商売」です。「もうけ続ける仕組みを創る」のが「経営」です。
最初は「商売」ができなければビジネスは成り立ちませんが、ビジネスが立ち上がり始めると「経営」が必要になってきます。
ですから起業家も、「商売人」から「経営者」へと成長していく必要があるのです。
例えば、金額の大きな一度限りの単発の仕事があったとします。
この仕事を今受注すれば、売り上げは上がるものの、来年の種まきが全くできなくなるとします。
「商売人」としての正しい意思決定は「受注する」でしょうが、「経営者」にとっては「受注しない」ことが正解です。
長期発展を目指すのなら、目先の損得にとらわれない長い目で見た意思決定が必要となります。
せっかく苦労したビジネスなのですから、明智光秀のような三日天下ではなく、徳川家康のように長く続く成功にしたいものです。
●起業への格言5
「一時的なもうけは経営とはいわない」
ワイズコンサルティング 吉本康志