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第519回 不実表示等の処罰事例/台湾


ニュース 法律 作成日:2024年5月6日_記事番号:T00115128

知っておこう台湾法

第519回 不実表示等の処罰事例/台湾

 公平交易法(公正取引法)第21条第1項では、商品、広告において、またはその他公衆に知らせることのできる方法により、「虚偽、不実、または錯誤を招く表示または表徴をしてはならない。」旨が規定されており、同条に違反した場合、同法第42条により、5万台湾元(約24万円)以上2500万元以下(期限までに改善命令に従わなかった場合は、10万元以上5000万元以下)の過料が科される可能性があります。

 公正取引委員会が最近公表した同条違反の事例には以下のようなものがあります。

①裁判所の判決内容を曲解して掲載した事例(2024年4月10日決議)

 海外ブランド品Xの台湾総代理店であるA社は、B社がXを台湾に並行輸入し、台湾で販売する際、当該商品はA社が販売したものである旨を表示していたので、B社を訴えました。当該案件について、裁判所は、B社は並行輸入した商品にA社の名称を表示してはならない旨を判示しました。その後、A社は、公式LINEアカウントにおいて、「B社は、A社から購入していないXの商品を販売してはならない」旨を掲載しました。

 これについて、公平取引委員会は、裁判所の判示は、B社がAの名称を表示することを禁止するだけであり、並行輸入まで禁止するものではないため、A社の掲載内容は公平交易法第21条第1項に違反すると判断し、A社に15万元の過料を科しました。

②認証の期限が切れていた事例(2024年2月7日決議)

 A社はECサイトで販売している洗濯機に関し、「国家省エネマーク認証を通過」した旨を掲載していました。

 当該洗濯機は確かに過去において経済部の省エネマークを取得していましたが、2022年2月5日に期限が満了し失効していました。A社は、その後2023年5月2日まで、当該洗濯機が「国家省エネマーク認証を通過」した旨を表示し続けていたので、公正取引委員会は、A社が公平交易法第21条第1項に違反すると判断しました。

 しかし、公正取引委員会は、違反していた期間において販売記録がないこと、A社が違反の事実を知った後直ちに当該文言を削除したことを考慮し、違法の情状は軽微であると判断し、A社には過料を科さない旨を決議しました。

③具体的な資料がないのに「唯一」等の表現をしていた事例(2023年12月13日決議)

 A社は、B社が製造したスマートフォンスタンドをECサイトで販売する際、「全国唯一台湾製造」(全国で唯一の台湾製造)や「独家MIT台湾製造」(1社だけで他にはないMIT Made in Taiwan 台湾製造)等の文言を掲載していました。しかし、A社は当該商品が全国で唯一の台湾製造である点の証拠資料を提供しなかったため、公正取引委員会は、A社が公平交易法第21条第1項に違反すると判断し、A社に5万元の過料を科しました。

 上記①の事例は、他社のビジネスを阻害する目的で判決内容を曲解した可能性がありますが、②の事例は確認不足、③の事例は調査・検討不足によるものであると思われます。

 意図的でなくとも、商品や広告に「虚偽、不実、または錯誤を招く」表示をしてしまう可能性があるため、商品に関する表示内容を検討する際には細心の注意が必要です。

 

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

福田優二弁護士

福田優二弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。

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