ニュース 政治 作成日:2024年7月3日_記事番号:T00116203
台湾有事海洋委員会(海委会)海巡署(海上保安庁に相当)は2日夜、中国で海上警備を担う中国海警局(CCG、海上保安庁に相当)が同日午後8時ごろ、金門県の料羅港から23.7カイリ(約44キロメートル)、中国福建省泉州市晋江市から11.2カイリの中国の領海(12カイリ以内)内を航行していた台湾の漁船に乗り込んで立ち入り検査を実施した後、午後10時ごろに晋江市の囲頭港に連行したと発表した。5〜8月は中国の禁漁期間で、台湾の漁船が中国の漁業エリアに侵入したことが理由とみられる。海巡署は3日午前に記者会見を行い、中国に対し、政治問題化せず、速やかに理由を説明し、船舶と船員を解放するよう呼び掛けた。3日付中国時報などが報じた。
張・漁業署長は、中国に実務的な対処を呼び掛け、早く船員に無事に戻ってきてほしいと語った(3日=中央社)
農業部漁業署の張致盛・署長は3日、漁船は中台共同の漁業海域で漁を行っていたと指摘した。中台の漁場は重複する場所が多く、同海域は澎湖漁船がよく漁を行う場所だと説明した。
拿捕(だほ)された漁船は、澎湖船籍の漁船「大進満88号」で、台湾人船員2人、インドネシア人船員3人が乗っていたようだ。張・漁業署長によると、全員無事だ。
金門県の地元住民によると、漁船が拿捕された当時、中国海警局の船舶8隻が巡視活動中だったという。
海巡署は2日午後9時ごろに船2隻を派遣し、海警局に対し、漁船に干渉しないよう呼び掛けたり、解放を要求したが、漁船は午後10時ごろ、海警局の船に中国方向への航行を促されて連行された。
海巡署は、両岸(中台)関係を破壊するような政治工作はやめるよう訴えた。現在、対中国政策を担当する大陸委員会(陸委会)や漁業署が両岸の対話ルートを使って中国側に掛け合っている。
中台の緊張高まる
海巡署の報道資料によれば、金門周辺海域で台湾の漁船が海警局に拿捕された前例はない。中台間ではこれまで、漁船は拿捕しないという暗黙のルールがあったようだ。
2月14日、金門県の周囲に台湾側が設定した「禁止・制限水域」(領海、接続水域に相当)内で漁を行っていた中国の漁船が、台湾当局の取り締まりから逃れる際に転覆し、中国人船員2人が死亡した事件以降、中国は周辺海域での巡視活動を常態化している。6月中旬以降、海警局の船舶が金門周辺を4回航行した。
中国は6月21日、反分裂国家法など現行法に基づき、死刑を含む「頑迷な台湾独立(台独)分子」の処罰に関する指針を発表した。台湾は27日、中国・香港・マカオへの渡航危険情報を4段階のうち、危険度が上から2番目の「橙色(オレンジ、不要な渡航を避ける。日本の渡航中止勧告に相当)」に引き上げ、中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)が28日、民進党当局の政治工作だと批判するなど、両岸(中台)間の緊張が高まっている。
中国の習近平指導部は、5月20日に就任した頼清徳・総統らを「台湾独立分子」と見なして警戒している。
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