ニュース 電子 作成日:2024年7月19日_記事番号:T00116499
ファウンドリー(半導体の受託生産)世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の魏哲家(シーシー・ウェイ)董事長は18日の業績説明会で、ファウンドリーに、パッケージング・テスティング(封止・検査、後工程のOSAT)、フォトマスク製造など、メモリー以外のIDM(垂直統合型の半導体メーカー)を含めた新コンセプト「ファウンドリー2.0」を提唱した。TSMCのファウンドリー世界市場シェアは60%前後だが、パッケージングやフォトマスク製造などを合わせた「ファウンドリー2.0」で計算すれば、23年の世界シェアは28%となる。人工知能(AI)向け半導体で圧倒的なグラフィックスプロセッサー(GPU)大手、米エヌビディアを、フランス競争当局が反競争行為の疑いで告発すると報じられており、TSMCの「ファウンドリー2.0」提唱は、リスク対策が目的とみられている。19日付工商時報などが報じた。
魏・董事長は18日、6月に董事長就任後、初めての業績説明会に臨んだ(18日=中央社)
市場調査会社、集邦科技(トレンドフォース)の統計によると、TSMCのファウンドリー事業の第1四半期(1〜3月)世界シェアは61.7%だった。
TSMCによると、「ファウンドリー2.0」の2023年市場規模は2500億米ドルと、従来の定義のファウンドリー市場規模の1150億米ドルの2倍以上だ。
TSMCは半導体の受託生産だけでなく、後工程も手掛けており、特に近年、AI半導体向け先進パッケージングが成長している。
黄仁昭・TSMC財務長は、「ファウンドリー2.0」の提唱は、IDMがファウンドリーに参入するなど、業界の境界線が曖昧(あいまい)になっているためと説明した。また、TSMCはファウンドリーだけでなく、特に先進パッケージングでも存在感が高まっていると指摘した。
魏・董事長は、TSMCは先進パッケージングのチップ・オン・ウエハー・オン・サブストレート(CoWoS、コワース)生産能力を増強しているが、まだ需要に追い付いていないと説明した。CoWoS生産能力は25年も非常にタイトな状況が続く見通しで、供給不足が緩和するのは26年以降と語った。
24年見通しを上方修正
魏・董事長は、AIブームでシリコンサイクル(半導体市場の景気循環)は回復期を迎えており、今年は力強い成長が見込めると述べた。先進プロセスについては、2ナノ開発は順調に進んでおり、25年の量産予定だと語った。
TSMCは、24年売上高予測は前年比24〜26%増加へと、4月時点の21〜26%増加から上方修正した。24年の設備投資額は300億〜320億米ドルへと、従来の280億〜320億米ドルから引き上げた。先進プロセスに7〜8割を充て、特殊プロセスに1〜2割、先進パッケージング・テスティングに1割を投じる。
TSMCが18日発表した第2四半期(4〜6月)の連結売上高は前期比13.6%増、前年同期比40.1%増の6735億1000万台湾元(約3兆2400億円)で過去最高だった。粗利益率は53.2%、純利益は前期比9.9%増、前年同期比36.3%増の2478億5000万元だった。
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