ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

TSMC、ドイツ工場あす20日着工【図表】(トップニュース)/台湾


ニュース 電子 作成日:2024年8月19日_記事番号:T00117034

TSMC、ドイツ工場あす20日着工【図表】(トップニュース)/台湾

 ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)はあす20日、ドイツ東部ザクセン州ドレスデンで新工場の着工式典を行う予定だ。自動車部品最大手のボッシュなどとの合弁で、TSMCにとって欧州初の生産拠点となる。欧州連合(EU)は、2030年に半導体製造の世界市場シェアを20%に倍増する目標を掲げており、TSMCのドレスデン工場は将来的に5ナノメートル以降の先進プロセスも導入するとみられている。19日付工商時報が報じた。

/date/2024/08/19/300tsmc_2.jpg

 ドレスデン工場は、TSMCが昨年設立したドイツ子会社、ヨーロピアン・セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(ESMC)が建設する。ESMCの出資比率は、TSMCが70%、▽ボッシュ、▽半導体大手のインフィニオン・テクノロジーズ、▽NXPセミコンダクターズ──の3社がそれぞれ10%。

 2027年末に稼働する予定だ。車載向けの28/22ナノメートルの相補性金属酸化膜半導体(CMOS、シーモス)や、16/12ナノの立体構造トランジスタ(FinFE、フィンフェット)技術を採用する。月産能力は12インチウエハーで4万枚。

 投資額は100億ユーロ(約1兆6300億円)とみられ、欧州半導体法(European Chips Act)でドイツ政府から助成金50億ユーロを受ける。

 EUは、30年の半導体生産能力の世界市場シェア20%を目標に掲げ、23年9月に欧州半導体法を施行した。欧州は、7ナノ以降の半導体製造設備市場を独占しているが、22ナノ以降の半導体工場はない。

台湾サプライヤーも進出

 ドレスデン工場の着工式典は、TSMCの魏哲家(シーシー・ウェイ)・董事長が幹部を率いて出席するほか、ドイツのショルツ首相や政府高官、サプライチェーン(供給網)関係者を招くようだ。

 ドレスデンはドイツで最大の半導体集積地(クラスター)が形成されており、ボッシュや東京エレクトロン(TEL)などの半導体製造設備メーカーの拠点がある。また、ザクセン州のライプツィヒやツウィッカウには、自動車大手のBMWやフォルクスワーゲン(VW)、ポルシェなどの工場がある。

 米国アリゾナ州や日本にも進出している台湾の半導体設備メーカー、帆宣系統科技(マーケテック・インターナショナル、MIC)はドイツに子会社を設立した。ほかに、▽半導体材料商社の崇越科技(トプコ・サイエンティフィック、TSC)、▽半導体テスティング(検査)・分析の閎康科技(マテリアルズ・アナリシス・テクノロジー、MA-tek)、▽半導体検査用部品の穎崴科技(ウィンウェイ・テクノロジー)──もドイツ進出を計画しているようだ。

 半導体業界関係者によると、ドイツでの工場設置の懸念事項は、サプライチェーン不足と工場のヒト不足だった。郭智輝・経済部長は、TSMCはサプライチェーンの10〜15%を率いて、日米、ドイツに工場を設置し、顧客の近くで商機を創出すると説明していた。

 熊本工場は今年2月に開所式を行い、年内にも量産する予定だ。一方、米国のアリゾナ工場は、台湾からの熟練エンジニア派遣に現地の労働組合が強く反発したことなどで、建設に遅れが生じた。ドイツはストライキが多く、TSMCのドレスデン工場でも文化の違いによる摩擦が懸念されている。

 

【セミナー情報です】
日本人向けワイズ経営塾、台湾新任編で、経営の基礎と、台湾のビジネス環境を学びませんか?経営者が知っておくべき法律や在台日系企業の給与事情もご紹介します。9月24日開講。
検索は「ワイズ経営塾、9月24日」。
【セミナー情報の詳細はこちら】
https://www.ys-consulting.com.tw/seminar/111170.html