中国福建省は22日、福建省住民に対し、台湾の離島の馬祖列島（連江県）への個人旅行と団体旅行の許可証の申請受付を即日再開すると発表した。福建省と馬祖などを結ぶフェリー航路「小三通」で、早ければきょう23日にも中国人団体旅行客が馬祖を訪れる見通しだ。一方、離島の金門県の県議会議員や観光業界代表者は22日、中国で対台湾政策を担う中国国務院台湾事務弁公室（国台弁）の宋濤・主任と北京で面会し、金門県への中国人の旅行再開などを訴えた。同行した陳玉珍・立法委員（国民党）によると、宋・主任は「手ぶらで帰しはしない」と解禁を示唆した。両岸（中台）の団体旅行は新型コロナウイルス流行で停止していたが、やっと再開に道筋が付きそうだ。23日付聯合報などが報じた。

福建省公安庁出入境管理局は22日から、福建省の住民に対し、馬祖旅行許可証の申請受付を再開した（22日＝中央社）

　福建省公安庁出入境管理局は22日、馬祖への有効期間6カ月、最長滞在期間15日の個人旅行や団体旅行の一次（シングル）許可証の申請受付を再開したと発表した。団体旅行の添乗員は、最長1年間のマルチ許可証を申請できる。

　台湾の旅行業界団体、中華民国旅行商業同業公会全国聯合会（TAAT）の蕭博仁・理事長は、福建省福州市平潭県の100人余りがチャーター船での旅行を計画していると聞いていると語った。

　中国の文化和旅游部の饒権・副部長は今年4月末、中国を訪問中の国民党の立法院党団（議員団）との会談の場で、福建省の住民に対し、馬祖旅行を解禁すると発表していた。6月末に福建省の旅行業界団体、福州市旅遊協会が馬祖を視察に訪れ、8月12日には内政部移民署の許可を得た中国人の団体旅行客が4年ぶりに馬祖を訪れていた。

9月に再開拡大か

　台湾の観光業界の対中窓口機関、台湾海峡両岸観光旅遊協会（台旅会）は9月5日に福州市で、金門・馬祖・澎湖旅行プロモーションイベントを開催する予定だ。金門・馬祖・澎湖から80人、中国から50人が出席する。

　陳・立法委員によると、金門県の代表団は22日、国台弁の宋・主任と1時間半面会し、中国人の金門旅行再開のほか、中国人学生の金門留学やスポーツイベントなどの交流再開を訴えた。宋・主任は「これだけ多くの人がやって来て多くの意見を述べたのだから、手ぶらで帰らせることはしない」と語った。時期などについて言及はなかった。陳・立法委員は、成果が期待でき、中国の国慶節連休（2024年は10月1〜7日）の前に解禁してほしいと語った。

金門県議会の洪允典・議長（国民党、左）はじめ金門県の代表団は22日、国台弁の宋・主任（右）と面会し、中国人の金門旅行の再開などを要望した（22日＝中央社）

　金門県旅行商業同業公会の翁炳信・理事長は、コロナ前の19年は中国人80万人以上が金門を訪れ、経済効果は60億台湾元（約270億円）以上だったと語った。

　また陳・立法委員は、交通部に掛け合い、9月からフェリー航路「小三通」の金門〜福建省アモイ間の運行を1日16便から20便に増便する確約を得たと語った。

　福建省と金門、馬祖、澎湖を結ぶフェリー航路「小三通」は、新型コロナの水際対策で20年2月に運行を停止した。コロナが落ち着き、23年1月に金門、馬祖の運行を再開した。

旅行業界、再開待ち望む

　台湾の交通部は、中国人観光客の台湾旅行受け入れ準備はできており、歓迎するとコメントした。

　台湾の旅行業界団体、中華優質旅遊発展協会の李奇嶽・理事長は、離島だけで台湾本島はまだ旅行できないにせよ、中国が誠意を示したのだから、台湾政府も中国への団体旅行を解禁してほしいと主張した。

　台湾の交通部は昨年11月時点で、今年3月から台湾人の中国への団体旅行を解禁すると表明していたものの、中国が台湾への団体旅行を解禁しなかったため、今年2月7日に旅行会社に対し、募集打ち切りを命じた。既に催行が決定したツアーは催行している。

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