ニュース 石油・化学 作成日:2024年10月4日_記事番号:T00117912
3日正午過ぎに高雄市に上陸した台風18号(アジア名・クラトーン)がもたらした強風と豪雨の影響で、石油化学産業の集積地、林園石油化学工業区(高雄市林園区)と大社石化工業区(高雄市大社区)は、電力供給が不安定となり、東聯化学(OUCC)など10社以上が操業を停止した。業界関係者は、復旧には2〜3日かかる見通しで、石化業界の売上高が1日当たり数億台湾元(1元=約4.58円)失われると予想した。4日付経済日報が報じた。
高雄市前鎮区のコンテナ置き場のコンテナが強風で倒れた(3日=中央社)
CPCも減産
林園石化工業区では、▽エチレングリコール(EG)メーカーの東聯化学、▽ポリスチレン(PS)とABS(アクリロニトリル・ブタジエンスチレン共重合体)の台達化学工業(TTC)、▽ポリエチレン(PE)の亜洲聚合(アジア・ポリマー、APC)──などが操業を停止した。台湾苯乙烯工業(台湾スチレンモノマー)は、自社にコージェネレーション(熱電併給)設備があり、稼働を徐々に再開している。
大社石化工業区では、▽ポリエチレン(PE)の台湾聚合化学品(USI)、▽ポリプロピレン(PP)の李長栄化学工業(LCYケミカル、栄化)、▽アクリロニトリル(AN)の中国石油化学工業開発(CPDC)──などが操業を停止している。国喬石油化学(グランド・パシフィック・ペトロケミカル)は、年次保守点検中だった。
石化製品の原料のエチレンを生産している台湾中油(CPC)は3日、高雄市林園区の新第3ナフサ分解プラントの操業を停止した。エチレン年産能力は72万トンで、林園石化工業区と大社石化工業区の約10社に供給していた。
業界関係者は、CPCの新第3ナフサ分解プラントは1日当たりエチレン2000トン、プロピレン1000トン、ブタジエン300トンを生産しており、現在のスポット価格(1トン当たり840米ドル、850米ドル、1550米ドル)で計算すると、1日当たり売上高が1億元失われる計算で、川上と川下を合わせれば数億元に上ると指摘した。
高雄市内では4日早朝、停電で信号機も消えていた(YSN)
高雄市に強風豪雨
交通部中央気象署(CWA)は午前5時半、台風18号が熱帯低気圧に勢力を弱めたとして、陸上・海上台風警報を解除した。
高雄市と屏東県は4日も、公共機関と学校を休みにする「停班停課」措置を取った。
コンビニエンスストア、萊爾富(ハイライフ)の高雄市前金区にある店舗は、強風で天井が剥がれた(3日=中央社)
台湾電力(台電、TPC)によると、4日午前10時時点で、高雄市で5万7876戸、屏東県で4万736戸が停電している。
3日、高雄港の二港口では風力17級(秒速56.1〜61.2メートル)が初めて観測された。強風で、3〜4トンの大型コンテナが吹き飛ばされた。豪雨と大潮(最も潮の干満の差の大きな状態)で、高雄市鼓山区や左営区、三民区などは冠水被害が報告された。
高雄市の街路樹の倒木被害は4日8時時点で2092件に上った(YSN)
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