ニュース 政治 作成日:2024年12月23日_記事番号:T00119281
立法院(国会に相当)で20日、中央政府の予算を減らし、地方政府の予算を増やす財政収支劃分法をはじめ、▽公職人員選挙罷免法、▽憲法訴訟法──の3つの改正案が、最大野党の国民党と第2野党の台湾民衆党の賛成多数で最終可決(三読)した。少数与党の民進党の立法委員が19日夜に窓から議場へ進入し、議長席を占拠するなど、与野党が激しい攻防を繰り広げ、審議は21日午前0時までかかった。立法院の外には、市民1万人以上が集まり、野党の強行採決に抗議した。21日付聯合報などが報じた。
20日午前も与野党の激しい衝突が起こった(20日=中央社)
国民党は、▽中央政府に予算分配が集中している問題を解消する、▽罷免(リコール、解職請求)の厳格化で、任期が安定する、▽憲法法廷の審議が厳格化し、信頼度が上がる──との主張だ。
今年1月に行われた立法委員選挙(定数113)で、民進党(51議席)と国民党(52議席)のいずれも過半数に届かず、野党第2党の台湾民衆党(8議席)がキャスティングボートを握っている。5月下旬にも、立法院職権行使法や刑法の改正案、いわゆる国会改革関連法案を野党2党の協力で可決したものの、憲法法廷(憲法裁判所)が10月に、多くの規定を違憲とする判決を下すなど、立法院の混乱が続いている。
■中央政府の予算削減
財政収支劃分法とは、中央政府と地方政府の予算配分を決める法律だ。改正案では、中央政府が65%、地方政府が35%へと、現行の中央政府75%、地方政府25%から変更する。財政部の試算によると、地方政府の予算は現在より3753億台湾元(約1兆8000億円)多く分配されることになる。
試算によると、新竹市と新竹県の予算は現行の3倍以上になる。直轄市は、▽桃園市、72.4%増、▽新北市、68.9%増、▽台北市、59.8%増、▽台中市、58.8%増、▽台南市、50.4%増、▽高雄市、49%増──と、北部の増加幅が南部より大きい。黄偉哲・台南市長(民進党)や陳其邁・高雄市長(民進党)は、北部と南部の格差が拡大すると抗議した。一部の地方政府には、必要以上の予算が分配され、予算消化のために無駄な支出が増えるとの見方もある。
中央政府は、防衛やインフラ整備、労働者の育児休業、家賃の補助などの予算を削減する必要に迫られる恐れがある。
行政院の李慧芝・報道官は23日、改正法は発効日を定めておらず、総統が公布後、3日以内に発効するため、2025年度の予算編成をやり直さなければならない可能性もあると語った。
■リコール条件厳格化
公職人員選挙罷免法の改正は、「罷免を求める提案や署名に身分証明証のコピーの添付を必須とする」、「他人の個人情報を使って署名した場合、懲役5年以下や罰金100万元以下を科す」などの内容が盛り込まれた。
立法院の外には改正案に抗議する市民が集まった。主催者によると、20日午後8時時点で、1万5000人に上った(20日=中央社)
内政部は、罷免を求める提案や署名に身分証明証のコピーを添付すれば、個人情報が漏えいする恐れがあるため、署名の意欲が低下し、罷免の権利が制限されると指摘した。
■憲法法廷、不能の恐れ
憲法訴訟法の改正では、憲法法廷(憲法裁判所)の審議は大法官が最低10人必要で、違憲判決は9人以上が同意する必要があるとした。
大法官は10月末に任期満了で7人が退任したため、現在、8人しかいない。
立法院であす24日、大法官の人事案が審議される。国民党は候補者を全て却下し、民衆党は0~2人しか同意しないとみられている。新たに2人以上の大法官が任命されない限り、憲法法廷は開けない。
司法院は、憲法法廷を開けなくなれば、憲法の争議を解決できず、憲法訴訟の権利が侵害されると指摘した。
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