ニュース 鉄鋼・金属 作成日:2025年3月12日_記事番号:T00120534
財政部関務署は11日、中国製の安価な鉄鋼が大量に輸入され業界が損害を受けているとの鉄鋼最大手、中国鋼鉄(CSC)と傘下の中龍鋼鉄(ドラゴン・スチール)の申請を受け、中国製熱延製品に対する反ダンピング(不当廉売、AD)調査を開始すると発表した。AD措置をとるかは早ければ6月下旬に仮決定、10月下旬に最終決定する。専門家は、米国のトランプ政権が12日に鉄鋼・アルミニウム製品への25%の追加関税を発動する予定で、米国に輸出できなくなった中国製鋼材が台湾になだれ込む懸念があると指摘した。12日付経済時報などが報じた。
財政部関係者は、11日からの調査開始のタイミングは単なる偶然だと説明した。CSCは昨年9月、財政部に中国製熱延製品のAD調査を申請していた。
中国製熱延製品の2024年上半期(1~6月)の台湾市場シェアは、前年同期と比べ3倍に増加した。CSCが提出した申請書によると、安価な中国製熱延製品の流入で、「鉄鋼価格が豚の飼料より安い」ほどの異常事態が発生し、台湾域内メーカーが何度値下げしても、販売量は減る一方だった。
域内販売価格と輸出価格の差に当たるダンピングマージンは、23年第3四半期(7~9月)から24年第2四半期(4~6月)に23.59%だったと算出された。ダンピングマージンは、今後の調査で変動する可能性がある。
調査対象の熱延コイルなどは、建築やインフラの重要な原材料で、橋梁、鉄道、空港、港湾、電力設備などの建設に使用されている。自動車の車体、シャーシ、動力システムにも広く使用されている。
国立中央大学経済学系の呉大任・教授は、中国製鉄鋼へのAD調査の実施で、中国が両岸(中台)間の海峡両岸経済協力枠組み協定(ECFA)のアーリーハーベスト(早期関税引き下げ措置)を取り消すなどの対抗手段を取る可能性があると指摘した。
■中国のビールもAD調査
関務署は同日、中国製ビールにもAD調査を開始すると発表した。台湾煙酒(TTL)、ハイネケン台湾など6社から成る台湾醸酒協会が、安価な中国製ビールが台湾に流入しているとして調査を申請していた。
中国製ビールの23年10月~24年9月末の輸入量は16万3464トンだった。24年1~9月の市場シェアは前年同期比23.18ポイント上昇した。ダンピングマージンは59.93%だった。
財政部は経済部に対し、域内産業への損害についての調査を依頼した。財政部は経済部の報告を基に、70日以内にAD課税の仮決定を決定する。最終決定までに、7カ月~1年かかる。
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