ニュース 電子 作成日:2025年3月31日_記事番号:T00120869
ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)はきょう31日、南部科学園区(南科、南部サイエンスパーク)楠梓園区(高雄市楠梓区)で建設中の2ナノメートル製造プロセスを採用する第2期工場の上棟式および第3期工場の着工式を行った。TSMCの2ナノは2025年下半期(7~12月)に新竹科学園区(竹科、新竹サイエンスパーク)宝山工場(Fab20)から量産を開始するとみられ、宝山工場はアップル向け、高雄工場(Fab22)はアップル以外の顧客に出荷し、受注は27年以降まで埋まっているとされる。31日付聯合報などが報じた。
秦・共同COOは、台湾当局と協議を重ね、半導体工場の用地をもっと確保し、台湾投資を拡大すると述べた(31日=中央社)
TSMCの秦永沛(ワイピー・チン)執行副総経理兼共同営運長(エグゼクティブ・バイス・プレジデント兼共同最高執行責任者、共同COO)は式典のあいさつで、高雄工場の投資額は1兆5000億台湾元(約6兆8000億円)以上と語った。2ナノは下半期に量産を開始し、量産後2年以内の顧客のテープアウト(設計完了)の数は3ナノを超える見通しで、量産後5年以内に消費者向け製品2兆5000億米ドルを創出すると語った。
式典は、秦・執行副総経理兼共同営運長が進行し、卓栄泰・行政院長や陳其邁・高雄市長ら政府関係者、サプライヤーが招待された。
TSMCが3月4日に米国で先進工場建設などへの1000億米ドルの追加投資を発表して以降、台湾では先進半導体のサプライチェーン(供給網)が米国に移管するとの懸念が浮上しており、式典の開催は、これを打ち消す意図があるとみられる。31日付聯合報は、竹科宝山工場の方が進捗が進んでいるのに、高雄工場で2ナノ工場の式典を開催するのは、高雄市政府の協力に感謝を示すほかに、先進製造プロセスの中心が南部に移ることを示していると分析した。
TSMCの高雄工場の模型(31日=中央社)
高雄工場の第1~第3工場(P1~P3)は2ナノを採用し、第4~第5工場(P4~P5)は2ナノ強化版のN2P、N2XやA16(1.6ナノに相当)を採用する計画だ。
第4~第5工場は3月初旬に環境影響評価(環境アセスメント)を通過し、建設許可を申請している。27年に完成予定だ。
■宝山工場、1.4ナノか
サプライチェーン関係者によると、TSMCはこのほど、サプライヤーに対し、1.4ナノプロセスの設備を準備するよう要請した。年内に竹科宝山工場の第2工場(P2)で試験生産ライン(ミニライン)を設置する予定だ。また、竹科宝山工場の第3~第4工場(P3~P4)を2ナノプロセスからA14(1.4ナノ)に変更する計画だ。量産は28年となる。
中部科学園区(中科、中部サイエンスパーク)台中園区の第2期拡張計画で建設する工場4基は、1.4ナノを採用する計画とされる。第1工場(P1)は27年までにリスク試験生産を行い、28年下半期に量産を開始する計画だ。
中科管理局は20日、第2期拡張計画の用地はTSMCに第1四半期(1~3月)に引き渡す予定だったが、延期になる見通しだと説明した。最大の地主である台中高爾夫球場(台中ゴルフ&カントリークラブ)の会員権の補償問題が長引いている。TSMCは5月に着工する予定に変更はないとされる。
■米国第3工場、近く着工か
TSMCのピーター・クリーブランド副総経理は28日、米国のシンクタンクが主催する座談会に出席した際、米国政府の協力を望む問題を問われ、TSMCの米国アリゾナ州の第2工場は建設中だが、第3工場はまだ着工しておらず、来週着工したいと回答した。
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