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【一般公開】頼・総統、住民投票後の記者会見(全文)


ニュース 政治 作成日:2025年8月25日_記事番号:T00123711

【一般公開】頼・総統、住民投票後の記者会見(全文)

 頼清徳・総統は23日、第3原子力発電所の再稼働の是非を問う住民投票などが行われ、即日開票の大勢が判明した後に総統府で記者会見した。日本語訳は次の通り。

/date/2025/08/25/17laiqingde1_2.jpg頼・総統は記者会見で、内閣改造についても言及した(総統府リリースより)

 きょう、台湾の市民は罷免(リコール、解職)と住民投票を通じて、再び民主の力を示した。これは市民の意志の表れであり、その結果について、私たちは皆、尊重し受け入れなければならない。

 特に、過去1年間、立法院(国会)の混乱が国家の発展に影響を及ぼすのではないかと憂慮して立ち上がった100万人の市民に感謝する。皆さんは1枚1枚の署名を通じて自らの力で変化を望み、雨の中でも炎天下でも努力をやめなかった。ここに心からの敬意を表す。

 民主主義の価値とは、異なる声が聞かれることにある。国家の主人は一人ひとりの市民だ。この間、台湾社会は自由と民主を守る決意を示し、また与野党が対話、協力、団結することを望む声も伝えた。声の大小にかかわらず、それは市民の心の声だ。総統として、私は誠実に耳を傾け、心に刻んだ。そして、与野党を問わず、この100万人の市民の期待を聞いてほしいと願う。

 第3原発の再稼働を巡る住民投票については、成立要件に達しなかったが、その結果を尊重する。そして、社会が多元的なエネルギーの選択肢を期待していることを十分理解している。原発の議論は数十年続いているが、台湾社会の最大の共通認識は「安全」だ。安全とは科学の問題にとどまらず、国民の安心の問題でもある。私は住民投票前にも述べたが、原発の安全は科学の問題であり、科学には検証が必要で、一度の住民投票で解決できるものではない。

 原発の再稼働については、今年5月に(原発の運転期間を最長20年延長できるように)改正された「核子反応器設施管制法(核管法)」に基づき、政府の立場として手続き上、二つの必須条件がある。第一に、核能安全委員会(核安会、旧・行政院原子能委員会)が安全審査の方法を定めること。第二に、台湾電力(TPC、台電)がその方法に基づき自主的な安全検査を行うことだ。

 私は核安会に、社会各界の意見を幅広く取り入れて速やかに関連法規を完成させるよう求める。また、TPCには法規が公布され次第、停止した原発の自主安全検査を開始し、進捗やリスクを定期的に社会に報告するよう求める。基準を満たせば、法に従い、核安会に提出し審査を受けなければならない。政府は、▽原発の安全に懸念がないこと、▽放射性廃棄物(核のごみ)の解決策があること、▽社会的合意があること──という3大原則を堅持する。これが原発に対応する政府の揺るぎない立場だ。

 したがって、将来、技術的により安全で、放射性廃棄物が少なく、社会に広く受け入れられれば、先進的な原発を排除しない。市民が求めているのは安心と安定した電力供給であり、これは政府の責務だ。今後もエネルギー転換を推進し、台湾の発展をより安全で持続可能にする。

/date/2025/08/25/17laiqingde2_2.jpg頼・総統は総統府で記者会見を行った(総統府リリースより)

 皆さん、私は就任して1年3カ月になる。政府の施政に不足があれば、執政チームは常に反省し、調整と改革を行わなければならない。

 卓栄泰・行政院長は、7月26日のリコール投票後、何度も辞意を表明した。しかし、米国との関税交渉がまだ決着しておらず、台風や豪雨による災害復旧も進行中だ。今年の追加予算、特別予算、さらに来年度の中央政府総予算が立法院で審議されている。国家の重要政策を引き続き推進する必要がある。

 したがって、私は卓・行政院長に職務を続け、国家の重要任務を共に背負ってほしいと希望している。同時に、国民の期待に応えるため、執政チームは四つの調整を行う。

 第一に、チームの調整。内閣は必要な人事改造を行い、チームを効率的にし、施政が実感できるものにする。

 第二に、施政順序の調整。経済、民生、弱者、青年の「四つの優先」を掲げ、特別予算や年度予算に反映させ、国民生活を守り、産業発展を推進し、経済のレジリエンス(強靱性)を高め、国家を強大にする。

 第三に、行政と立法の関係調整。国家利益を守りつつ、与野党の対話を増やし、党派を超えて台湾を守り、国民の利益につながる政策を推進する。

 第四に、国家財政体質の調整。国家財政の安定があってこそ、世代を超えた持続可能性が保障される。与野党が共に努力し、財政構造を健全化する方法を探り、国家の長期的発展を確保することを望む。

 きょうは(1958年8月23日、中国人民解放軍が金門島への砲撃を開始した)823戦役の勝利67周年でもある。当時、私たちは族群(エスニックグループ)を問わず、台湾、澎湖、金門、馬祖の軍民が心を一つにし、金門を守り、台湾を守った。今日の挑戦は異なるが、必要とされる団結は同じだ。団結してこそ、国家を守り、貴重な民主と自由を守ることができる。

 私は823戦役の精神を鑑(かがみ)とし、市民全員と族群の違いを超え、いつ来たかにかかわらず、手を取り合って努力し、台湾をより民主的で、安全で、繁栄した未来へ導いていく。

 

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