ニュース 政治 作成日:2025年10月13日_記事番号:T00124602
頼清徳・総統は10日、双十節(建国記念日、10月10日)式典の演説で、「平和は実力によってこそ維持される」と述べ、「台湾の盾(Tドーム)」と呼ぶ新たな防空システム構想を発表した。中国のミサイル攻撃などの脅威に対応するのが狙いで、2030年度までに防衛予算の域内総生産(GDP)比を、北大西洋条約機構(NATO)が加盟国に求める水準の5%に引き上げる方針を改めて示した。これに対して、中国外交部の郭嘉昆・報道官は同日の記者会見で、頼・政権は、武力によって独立を企て、武力で統一を拒もうとするものであり、台湾を戦乱の危険に引きずり込むだけだと批判した。11日付聯合報などが報じた。
頼・総統は演説の最後に、花蓮県の洪水で多くのボランティア「鏟子超人(シャベル・スーパーマン)」が被災地に駆けつけたことに言及し、心を一つにし、風雨を恐れず、挑戦を恐れず、勇敢に前進していこうと呼びかけた(総統府リリースより)
頼・総統は「変局の中で奮い立つ新台湾」と題する演説を行った。両岸(中台)関係について、中国は大国としての責任を示し、国際連合(国連)第2758号決議(アルバニア決議)の歪曲(わいきょく)をやめ、武力による現状変更を放棄すべきだと呼びかけた。アルバニア決議とは、国連が1971年に中華人民共和国政府が国連における中国の唯一の合法的な代表だと認めた決議のこと。蔡英文・前総統に続き、昨年の総統就任以来、繰り返してきた「中華民国と中華人民共和国は互いに隷属しない」という表現には触れなかった。
頼・総統は、中国のミサイル攻撃などの脅威を念頭に、防衛予算の柱として、▽「台湾の盾」構築を急ぎ、多層防衛・高度感知・有効迎撃を備えた厳密な防空システムを整備、▽ハイテクと人工知能(AI)技術の導入と融合を強化して、非対称戦略による抑止効果を発揮、▽防衛の革新技術への投資継続──を掲げた。
これにより台湾は、友好国に信頼される安全保障パートナーとなり、中国の「紅色供給網(レッドサプライチェーン)」を排除し、自由で民主的な国家の間の防衛上の信頼を築き、自由と民主の価値を守る防衛ラインを構築すると強調した。
顧立雄・国防部長は13日に報道陣の取材に対し、「台湾の盾」について、台湾が持っている各種のミサイルと対ミサイル、軍機、ドローン(無人機)のシステムと統合し、迎撃率を高めると説明した。
■演算力、世界5位へ
頼・総統は、中国やロシアの権威主義拡張のほか、米国の関税政策に直面していると語った。政府は、米国の関税の影響を受ける産業の支援策として930億台湾元(約4600億円)の支援策で、企業や労働者、農業や漁業従事者を支援し、中小・零細企業、AI導入、デジタル化、脱炭素化を推進すると説明した。
頼・総統は、台湾の経済実績は世界が認めており、グローバルサプライチェーンにおける台湾の地位は揺るぎなく、取って代わられることもないと強調した。政府は今後、▽投資拡大、▽国際経済貿易の協力深化、▽「護国群山(半導体など国家を守る産業)」の構築──を戦略に、台湾の競争優位性を維持すると語った。
「AI新十大建設」を推進し、台湾のコンピューティング力を世界5位以内とすることを目指し、▽量子技術、▽シリコンフォトニクス(SiPh)、▽ロボット──の革新技術の研究開発(R&D)を進めると述べた。
■海外の来賓212人
頼総統の演説終了後、韓国瑜・立法院長が三軍儀隊の演奏を宣言する予定だったが、式典のスタッフが頼・総統の演説原稿を回収し忘れたため、韓・立法院長が総統の原稿の冒頭を誤って朗読するハプニングがあった。
今年の式典には、陳水扁・元総統、蔡英文・前総統、朱立倫・国民党主席、黄国昌・台湾民衆党主席らが参列した。馬英九・総統(国民党)は参加しなかった。台湾との関係強化を目的とする日本の超党派議員連盟、日華議員懇談会(日華懇)の古屋圭司会長を団長とする訪問団をはじめ、海外から来賓計212人が出席した。
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