ニュース 電子 作成日:2025年11月3日_記事番号:T00125052
半導体業界のうわさによると、ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は9月以降、顧客に対し、2026年1月からの5ナノメートル以降の先進製造プロセスの受託生産価格を引き上げると通知したようだ。引き上げ幅は平均3~5%。値上げは4年連続。AI(人工知能)やハイパフォーマンス・コンピューティング(高性能計算、HPC)需要が強く、供給不足が続いているためとみられる。全世界のAI半導体の8割以上をTSMCが受託生産している。3日付工商時報などが報じた。

TSMCはうわさについてコメントしていない。
半導体業界関係者は、TSMCの値上げは▽2ナノ、▽3ナノ、▽4ナノ、▽5ナノ──の先進製造プロセスが対象と説明した。証券会社は、3ナノ製造プロセスの値上げ幅は10%未満で、長期的には10%以上の値上げ幅になると予想した。
業界では、TSMCが前倒しで価格交渉を始めたのは、AI搭載パソコンや自動運転車、産業用ロボットなどで、5ナノ以降の半導体需要が急増し、生産能力が逼迫(ひっぱく)しているためとみられている。主な顧客は、▽グラフィックスプロセッサー(GPU)大手の米エヌビディア、▽アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、▽クアルコム、▽アップル、▽聯発科技(メディアテック)──などだ。
業界関係者によると、AI半導体の需要に対応するため、TSMCは6ナノや7ナノから5ナノへと、人材と設備を動かしている。
TSMCの第3四半期(7~9月)の製造プロセス別売上高構成比は、▽3ナノ、23%、▽5ナノ、37%、▽7ナノ、14%──で、7ナノ以降の先進製造プロセスが74%を占めた。証券会社は、下半期(7~12月)の2ナノ量産予定に伴い、来年は先進製造プロセスの売上高構成比が75%以上になると予測した。

証券会社は、TSMCの2ナノの月産能力は年末に1万5000~2万枚、来年末は4万5000~5万5000枚に増加すると試算した。
また証券会社は、AI向けの売上高構成比は26年に35%を占める見通しで、従来予測の28年より早まると予測した。
■A16、来年3月試験量産
TSMCの2ナノ強化版N2PやA16(1.6ナノ相当)は来年下半期(7~12月)に量産する予定だ。サプライチェーン(供給網)関係者によると、クアルコムやメディアテックのスマートフォン旗艦機種向け半導体の出荷スケジュールに合わせ、N2Pは前倒しで進めているとされる。メディアテックは来年末にN2P採用のシステムオンチップ(SoC)を発表する予定だ。

裏面電源供給ネットワーク(BSPDN)採用A16は、26年3月に試験量産を開始する予定だ。IC設計関係者は、A16は電流伝導距離が短縮され、エネルギー効率が向上するため、AIサーバーやHPCに適していると説明した。受託生産価格は1枚当たり3万米ドル以上。エヌビディアがまず導入する。
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